カテゴリ: 大人の嗜みガイド

イタリア映画祭とは?

イタリア映画祭は2001年にはじまった朝日新聞の主催するイベントである。今年で15回目を迎えるこの映画祭は、日本で未公開の、近年のイタリア映画を、えりすぐって十数本程度紹介している。当初はマイナーなイベントだったが、近年では東京大阪あわせて一万人以上の観客を動員するものになっている。
今年は東京会場で4月29日から5月5日まで、大阪会場では5月9日、10日で開催される。

ちなみにチケットの値段も普通の映画よりは安い。当日券で1700円、前売り券なら1450円だ。

イタリア映画祭の魅力

1.やたらマフィア映画が多い

マフィアといえばイタリア、イタリアといえばマフィア、そんなお国柄を反映してか、マフィアモノが多いのがこの映画祭の特徴だ。今回上映される作品のなかでも十四本のうち三本がマフィア、犯罪モノという充実ぶり。過去の映画祭をみてもマフィアモノ、犯罪モノには良質な作品が多い。

2.明るくてほっこりするコメディが多い

出典: ameblo.jp

イタリア人というと陽気で明るいイメージが強くある。そのイタリア人の気質を反映してか、優れたコメディ映画が多いのもこの映画祭の特徴。

コメディ映画といっても、たとえばハリウッド等のコメディとは違う。もちろんイタリアのコメディが笑えないというわけではないのだが(むしろゲラゲラ笑える)どことなく上品で、なによりも温かみがある。

たとえば子供とともにコメディ映画を観ようと思ったとき、不安なのが教育上好ましい映画であるか否か。
だが本映画祭にそんな気遣いは無用。
どのコメディ映画も、大いに笑える上に、なにかしら社会的、哲学的な問いとリンクしているから、家族で観て語り合うのにもぴったりだ。

3.一方で骨太な人間ドラマも多い

マフィア映画やコメディ映画にすぐれた作品が多い一方で、重厚で骨太な人間ドラマが得意なのもイタリア映画の特徴だ。
世界史をやった人ならご存知だろうが、イタリアというのは非常に複雑な歴史を持っていて、またその複雑な歴史に起因してか社会や政治も、貧富の格差や腐敗など困難な問題を多く抱えている。
映画に限らず、なべて文化なるものは社会や歴史の反映である。だからイタリアが抱えるこうした諸問題は、我々にとっては幸運なことに、すばらしい映画作品となって結実する。

出典: jidai2005.at.webry.info

イタリア映画祭2015のおすすめ映画

十四本も公開されるとどの映画を観に行っていいのかわからないという向きもいるだろう。そこで今回はアクセトリー編集部が面白そうな映画を三本紹介させていただく。

黒い塊ー骨太なヘビー級マフィア映画ー

犯罪組織「ンドランゲタ」が拠点とする南イタリアのカラブリア州で生まれた3兄弟の過酷な運命を、圧倒的な迫力で描いたドラマ。三男のルイジはドラッグのディーラーで、次男のロッコは見たところ普通のビジネスマンだが、そのドラッグによる利益で事業を展開していた。長男のルチャーノはヤギを育てて平穏に暮らしていたが、息子のレオが敵対するファミリーを威嚇。軽率な行為は若気の至りでは済まされず、血を血で洗う抗争が始まる。ヴェネチア国際映画祭コンペ部門出品。

引用: www.asahi.com

こちらの映画の開催日程は
東京会場4月30日[木] 18:40~/5月3日[日・祝] 10:20~
残念なことに大阪会場では上映しないようだ。

いつだってやめられるードタバタ犯罪コメディー

1981年生まれの新星、シビリア監督の長編デビュー作。素人ギャングの顚末を独特のビジュアル感覚と小気味良いリズムで描いて、スマッシュヒットした。37歳のピエトロは天才的な生物学の研究者だが、予算削減で大学の職を失う。研究に人生を捧げてきたピエトロが出した結論は、合法ドラッグを作って稼ぐこと。そのために、元同僚で不遇をかこつ経済学、化学、人類学、ラテン語の専門家を呼び集めて、犯罪集団を組織する。イタリアのゴールデン・グローブ賞で最優秀コメディー賞を受賞。

引用: www.asahi.com

「いつだってやめられる」は、実は筆者が一番期待している映画。監督のシドニー・シビリアは感性豊かで洒脱な映画を撮る若手期待株だ。

東京会場4月30日[木] 16:00~/5月4日[月・祝] 13:20~ 大阪会場5月9日[土] 15:45~

ラストサマー  -たとえようもないほど美しく描かれる母子の別れー

親権を失った母とその息子が過ごす最後の4日間を静かなタッチで描いたドラマ。南イタリアの洋上に浮かぶヨットに、日本人のナオミが乗り込んでくる。英国人の元夫に親権を奪われて長年会うことが出来なかった6歳の息子、ケンとの最後の別れが許されたからだ。乗組員たちの目が厳しい中で、ナオミはケンとつながろうとするが、思い通りには進まない。菊地凛子が主演し、吉本ばななが脚本に協力している本作は、ローマ国際映画祭で上映された。(※言語は大半が英語で、一部が日本語)

引用: www.asahi.com

菊池凜子といえば、今年のアカデミー監督賞を受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の「バベル」にも出演した日本を代表する国際的演技派女優だ。その彼女が主演するというのになぜか全然日本での知名度のないこの映画はローマ映画祭でも受賞している。

東京会場のみの上映で4月29日[水・祝] 14:30~

会場、日程、チケット情報

会場の場所や日程、チケット情報などは公式サイトから

過去の上映作のおすすめ

ここからは過去の上映作のおすすめ作品を紹介させていただく。
イタリア映画祭2015の前に予習してみてはいかが?

マフィア映画のおすすめーゴモラー

出典: www.asahi.com

マフィア映画の、過去のイタリア映画祭上映作品のおすすめはなんといっても「ゴモラ」だ。イタリア映画祭2009で上映された。

マフィアのビジネス、抗争とそれに巻き込まれた人々の絶望を描いた群像劇は世界中で高く評価され、カンヌ国際映画祭でも審査員グランプリ(パルムドールに続く二等賞)を獲得している。

徹底的にリアルに描かれたマフィア(厳密にはイタリア南部の犯罪組織カモッラ)の“今”がここにはある。我々がマフィアに対して抱くような、ロマンチズムや憧れは、この映画を観たあと、まったくの虚構であったとわかるだろう。
全てが組織の利益のため、そのためならまるで感情がないかのように人を苦しめる。そこに感傷的な要素ははいってこない。

この映画の最大の特徴、成功は、マフィアではなくそれらのよって虐げられる側の人間に映画のカメラを向けたことだ。
マフィア映画でありながら、おどろくほどにマフィアの登場人物がでてこないこの映画は、そのゆえにマフィアの冷酷さを強く印象付けることに成功している。
ここで描かれているマフィアの実態があまりにもリアルだったため、原作者のロベルト・サヴィアーノはマフィアから命を狙われており警察の保護下で暮らしているとのこと。




コメディのおすすめーあしたのパスタはアルデンテー

イタリア映画のコメディモノは非常に面白い作品が多く、どれも優劣がつけがたかったが、やはり2011年のイタリア映画祭で上映された「あしたのパスタはアルデンテ」をチョイスさせていただく。ゲラゲラ笑えるうえに、この上もなく感動的なラストシーンが用意されたこの映画は、イタリア本国でも150万人を動員する大ヒットになった。

主人公は、老舗パスタ工場を経営する一家の次男。兄が社長に就任するにあたって開かれたディナーで、小説家を目指していること、ゲイであることを告白しようとするつもりだ、と兄に伝えた。その夜、彼が告白をしようとした矢先に、なんと兄が「自分がゲイである」と告白してしまう。兄は勘当され、父は驚きのあまり心臓発作で倒れ、主人公はゲイであることを隠して社長としての仕事をこなす羽目になるが・・・

大いに笑えて、ほっこりできて、観終わった後は「自由に生きるってなんだろう」って友達と話したくなるようなこの映画は、まさにイタリアコメディのお手本だ。
ちなみに筆者は一人で観に行ったので誰とも語り合うことはなかった。


骨太な人間ドラマのおすすめー副王家の人々ー

社会派で骨太な映画を紹介しようと思ったが、社会派な映画はゴモラでお腹一杯になってしまう可能性があるので別方向で骨太な映画を紹介しよう。
それがこの「副王家の一族」である。イタリアの歴史を題材にとっており、タイトルからも分かるように名家の一族のドロドロ愛憎劇がテーマだ。豪華絢爛な衣装に、すばらしいロケ地、父と子の確執、時代の変化の中で翻弄される人々の姿・・・こうしたワードに反応する人にはぜひ見ていただきたい。ヴィスコンティの「山猫」が好きな人にももちろんおすすめ。

舞台は十九世紀後半のイタリアはシチリア。革命の波はイタリアにも及ぼうとしていた。主人公コンサルヴォはシチリアの副王家である名門貴族ウゼタ家の長男。厳格で保守的な父との確執、急速に変化する中でウゼタ家が、コンセルヴォが取るべき道は・・・

ちなみに主人公のコンセルヴォ役をつとめたアレッサンドロ・プレツィオージは、先ほど紹介した「あしたのパスタはアルデンテ」でも主人公の兄の役をつとめている、イタリア映画界屈指の美男子。

最後に

おしゃれさの点ではフランス映画の後塵を拝しているイタリア映画だが、いちどみてみれば「ああ、イタリアだなあ。トマトとパスタとオリーブオイルの国だなあ」と感じられる独特の趣がある。
今年のGW、イタリアに染まってみてはいかがだろうか。
混雑が予想されるので前売り券の購入をおすすめする。

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編集部 三宅隆平

脳髄を置いてきぼりにして走る

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