【創り手たち-vol.1】オーダースーツで男を上げろ。-新進気鋭Tailor Line代表の語るその真髄

【創り手たち-vol.1】オーダースーツで男を上げろ。-新進気鋭Tailor Line代表の語るその真髄

オーダースーツの復活


スーツは鎧だ、という表現を耳にすることがある。
戦場のようなビジネスの世界を渡り歩くために必要な鎧なのだ、と。

でも、いつからかその鎧は牢獄になっていやしなかったか。セレクトショップに吊るされている既製服に、無理やり体を合わせるようになってはいなかったか。

スーツに体を合わせるのではない、体にスーツを合わせるのだ、と語るのが新進気鋭の若手、テーラーラインの澁川さんだ。
今回アクセトリー編集部は、会社や自宅まで出張して採寸するサービスを無料で実施するなど、斬新な視点でテーラーの世界を拡張し続けている澁川さんに、オーダースーツのイロハについてお伺いすることにした。


オーダースーツの種類

オーダーメイドのスーツ、といっても大きく分けて二つの種類があるのだ、と澁川さんは語る。

「一つがマシンメイド(工場仕立て)です。これはお客様の採寸をした後に、工場にある型紙の中から、お客様の体形にもっとも近いものを選んで、適宜細かい部分を調整しながら仕立てるものです。このタイプですと、うちでは58000円から作れます。海外のリーズナブルな工場で仕立てている所ですと、30,000円くらいから気軽に作れますね。」

それに対して、いわゆるオーダースーツといったときにイメージするのがフルオーダーとよばれるもの。

「こちらはビスポークと呼ばれたりもするもので、お客様の採寸をしたら、型紙をおこすところから始めます。仮縫いを行い、その度にお客様に着ていただいて、細かい調整を行います。仮縫いを複数回するところもございます。仕上がりは約二か月かかります。他の仕立屋さんでは半年に及ぶこともあります。こちらはすべて職人が手縫いで行うものですね。見えない部分の芯地や縫い方が全く違い、お客様のご要望も最大限にお聞きできます。その分値段は高くなり、テーラーラインの場合ですと生地次第ですが、大体25万円~(平均35万円)くらいかかります。」


オーダースーツの魅力

自分の体形にぴったり合う

オーダースーツの一番の魅力ってどこにありますか、と聞くと澁川さんは迷うことなくこう答えた。
「やはりなんといっても自分の体形に合わせられる、というところですね。」
そしてこのように続ける。
「オーダーメイドではない吊るしの服、というのは所詮最大公約数でしかない。だからそれを着るとき、体のほうが服に合わせてやらないといけないんです。そこには矛盾がある。まったく同じ体型の人なんていませんからね。オーダーメイドではないスーツというのは、見る人が見ればすぐにわかります。体形に合っていないわけですから、どこか皺が寄っていたり、逆に生地が張っていたりするものなのです。一度スーツを仕立ててみれば、その着やすさ、快適さに驚くと思いますよ。」

自分だけの一着を作り上げる愉しみ

もちろんオーダースーツの魅力はそれだけではない。
「オーダースーツをつくるとき、お客様には、おおきくわけて生地、デザイン、ボタン、裏地の四つを選んでいただきます。一つ一つ、スーツの用いられるシチュエーションや、お客様の好みを伺いながら選んでいき、まさしく世界に一着だけの服をあつらえるわけです。」
そうなのだ。オーダースーツには、それを着る楽しみだけではなく、テーラーと共にそれを作り上げるという楽しみもあるのだ。

生地選び

たとえば生地だけでも高価な生地から、比較的安価な生地に至るまで無数に存在する。
どれくらいの種類の生地がここ「テーラーライン」にあるんですか、とたずねると澁川さんは一瞬言いよどんでこのように答えた。
「わかりませんね・・・数えたこともないですし、数えきれないくらいありますからね。少なくとも数千はあるんじゃないでしょうか。」

そんなに種類があっても選ぶのが大変じゃないか、というこちらの思いをくみ取ってか、澁川さんはこのようにも続けた。
「実際には、何千種類もあるといっても、お客様のご予算や、好みの色、柄、あるいはそれを着るシチュエーションをお伺いし、そのうえでこちらから生地を提案させていただくという形をとります。たとえば固い職業だったら、あまり光沢のある生地はまずいな、とか暖かくなってきたから通気性のいい軽やかな生地がいいな、とか、そういったふうにです。」

デザイン選び

デザイン選びも楽しい。

おおまかな形、たとえばシングル、ダブルだとか、ベストをつけるか、とかそうした部分だけではなく、ポケットの位置や形からズボンのシルエットまで、こだわろうと思えばいくらでもこだわることができる。
これもまたテーラーさんと相談しながら決めていってほしい。

「それぞれのシチュエーションによって許されるデザインというのは変わってくるんです。たとえば結婚式にいくときは、主役よりも目立たないように黒のスーツを着る、とかベント(ジャケットの後ろの切れ込み)は無しのものにする、とか。」と澁川さんは語る。

個人的にはダブルブレストのジャケットが気になっている。

ボタン、そして裏地

ボタンや裏地も忘れてはいけない。澁川さんは語る。
「ボタンにしても、ざっと分けて貝でできたもの、水牛のもの、カジュアルなクルミでできたものがあり、それぞれ様々な色や光沢、特徴があるわけです。安いフランチャイズのところだとプラスティックのボタンも入ってきますね。裏地も安いところだとポリエステルが多いです。うちではキュプラという素材をおすすめしています。非常になめらかで、静電気を帯びることもない植物由来の素材です。」
「ご覧のように、裏地も色や柄、様々ありますし、裏地で遊んでみるのも楽しいですよ。」
と裏地のリストを見せながら澁川さんは言った。

融通が利く

融通が利くのもオーダースーツ、それも特に個人テーラーの大きな強みだ。

「この融通が利く、という点は、既製服はもちろんオーダースーツの中でも、フランチャイズ展開している大きなテーラーにはできない利点です。たとえば、私の顧客の会長様に、コートの襟にミンクをつけてほしい等といった要望を受けたことがあります。こうした大きな要望だけではなく、上下スーツのパンツをハーフパンツにしてほしい等の対応は良くしております。大手のところではスタッフさんがお客様に対応するので、どうしても細かい要望とかは実現できないんですね。」

融通が利くのはスーツだけではない。
これまでオーダースーツというくくりでお話を伺ってきたが、スーツだけではなく、コートやシャツ、その他様々なものをオーダーで作ることができるのだと澁川さんは語る。

まさに自分だけの一着を、テーラーさんと話し合いながら作っていく、そうしたオーダースーツ、オーダーメイドの魅力が澁川さんの話からも伝わってくる。


最後に

「スーツはセルフイメージを決定します。」と澁川さんは言う。スーツの良し悪しは、わかる人にはわかるものだ。とくに社会的地位が向上すればするほど、そうした審美眼は高まっていくものだし、もしあなたがそうした人を相手に仕事するならば、なおさら良いものを着るべきだ。

「毎日着るものだからこそ、そこにこだわるかどうかでずいぶん変わってくるんです。」

それだけではありません、と澁川さんは続ける。

「身だしなみは相手へのおもてなしなのです。自分だけではなく相手への気配りでもある。たとえば、カジュアルな服装で来ることの多い人に対してグレーのスリーピースを着ていったら、身構えさせてしまうでしょう?」

だからこそ我々アクセトリー編集部はオーダースーツを提案する。
もうそろそろ新入社員とも言えなくなってきたし、AOKIやコナカは卒業したいな、と考えてる方に、セレクトショップやブランドの既製服のほかにも、オーダースーツという選択肢があるということを示したいのだ。

オーダースーツだからこそできるきめ細やかなサービス、抜群の着心地を、あなたにも体感していただきたい。
これからますますオーダースーツは一般的になっていくだろう。それはある意味で時代の必然だ。

まずは一着、試しに仕立ててみてはいかがだろうか?

取材に快く答えてくれたばかりか、オーダースーツのあれこれについて、知識のない我々にもわかるよう丁寧に説明してくれたテーラーラインの澁川さんに感謝して、本稿の締めくくりとする。

今回取材協力を頂いた澁川氏のお店「テーラーライン」公式サイト

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