カテゴリ: 大人の嗜みガイド

貴方にとってのコーヒー

男は常に考えている。
その思索は、ビジネスかプライベートか。直近ではない、未来について考えているのかもしれない。
そんな傍らで、貴方の思考をスマートにしてくれるのはコーヒーだろう。
そっと一口飲む。淹れたての、85℃近いその液体を口内に入れた瞬間の、苦味、コク、酸味。
華やかな香りが鼻を抜け、貴方はより、自分のためにかけるその時間に酔いしれていくだろう。
それを演出してくれるのはただのコーヒーではない。貴方のその一時を共にするスペシャルティな存在なのだ。
機械や他人の淹れたコーヒーも旨い。けれど、自分に向き合う時間を他人任せにはしたくないものだ。
およそ10分。この時間をかけられるか否か。
ただ茫然と時間を過ごすより、自らの淹れた一杯のドリップコーヒーに酔いしれてみてはどうだろう。

ようこそ、ドリップコーヒーの世界へ -先ずは道具-

前置きは長くなってしまったが、これから素敵なコーヒーの淹れ方を伝授したい。
今回は手軽で、しかも奥が深い、ペーパードリップの手法で挑戦してみよう。
用意するものは以下の通りだ。

出典: www.sawaicoffee.co.jp

・挽いた豆
・コーヒーサーバー
・ペーパーフィルター
・ドリッパー(まずはどんなブランドでもよい)
・注ぎ口の細いケトル。

これらの道具を使って、実際に淹れていくわけだが、
今から言う6つのポイントを押さえてくれれば、それで良い。
あとは自分の感性を信じて、やってみる。
やってみてから分かることって案外、世の中たくさんあるものだから。

一つ、豆の種類を知るべし。

コーヒーの豆を選ぶ時に、ブレンドかストレートかで先ずは迷う。ブレンドは3~5種類の豆を混ぜることでバランスの良い味となる。
対してストレートは、その産地毎の個性が明確に出る。
どちらが良いかはケースバイケースで、ブレンドは万人受けしやすい味で、ストレートはニッチな好みの分かれる味が多いと言うイメージでいると分かりやすいと思う。
とりあえずはお店のブレンドを2、3種類買い、そのなかに入っている豆をストレートで買ってみると言うのが無難だろう。
お店によっては丁寧に客の好みを聞き出してくれる素敵な場所もある。そういう場所では店員さんの知識に任せて、オススメのストレートを是非買ってみよう。

どこで買うか、という問題も浮上してくる。
これは、自家焙煎を行っている近場のロースターが一番だろう。
多くの店舗を持つ有名なコーヒーショップでは、大量生産で在庫を抱えているため、後述するような豆の鮮度が良い状態で提供する、という行為が難しいからだ。
自家焙煎のロースターでは、その店の焙煎士のオリジナルブレンドがあり、それをとりあえず買ってみるのも手だ。あとはそれより酸味が強いもの、苦味が強いもの、香りはこういうものが良い、と言う風に自分の好みを相手に伝える基準を作ることができる。だからこそ、近くのお気に入りのロースターを見つけて通うことをオススメするわけだ。

二つ、新鮮な豆を選ぶべし。

コーヒー豆の最高に美味しい期間は焙煎2、3日後~1週間ほどである。そして、賞味期限は2週間。存外、足の早い生ものなのである。
なぜかと言えば、コーヒーの肝心な要素であるその香りが、焙煎2、3日後から香りが出始め、2週間後には飛んでしまうからだ。
香りの抜けたコーヒーも、飲めないことは無いが…。ただの苦い液体であることは言うまでもない。
週に飲みきる量を予想して、必要な分だけ買う。そんなスマートさも大切だろう。
飲みきれる量を買うなら、お店で挽いてもらった方が手軽である。無論、自宅にコーヒーミルがあるのなら、自宅で挽いても良い。
手動のミルであれば多少手間ではあるが挽き方を調節出来るため、豆ごと、抽出の方法ごとに小回りの利いた挽き加減にすることが出来る。
個人的な見解ではあるが、荒く挽いた方が美味しいコーヒーをドリップ出来る気がする。自分の好みによって、細かさを調節するのもよいだろう。

三つ、水を知るべし。

蛇口をひねった水を飲める国は少ない。日本はその数少ない国である。地域によってはカルキ臭さが強いところもあるが、煮沸させたり、活性炭による浄水器を駆使することでカルキ抜きが可能だ。
水のきれいさもそうだが、軟水であるということがかなり重要で、硬水に比べて豆本来の味が出やすい。硬水で淹れたコーヒーは、酸味が抑えられ苦味が強まる。
淹れる豆をよく知っているなら、水で違いを出すのも乙なものだが、初めは素直に軟水で淹れてその豆がどんな性格かを是非見極めてほしい。
どうしてもカルキが気になるならミネラルウォーターで淹れよう。

四つ、湯と温度にこだわるべし。

湯を沸かし、注ぐためのケトル。それはなるべく注ぎ口の細いものが良い。
月兎印や野田琺瑯のランブルポットなどが有名で使いやすさも抜群だ。
一滴一滴の湯の調節がしやすいランブルポットはプロの目から見ても間違いなく逸品であるとされている。

出典: sasuraicoffee.com

ランブルポットはこのように注ぎ口が鳥のくちばしのように鋭い。
この形が、繊細な湯の調節に打ってつけなのだ。

沸かすお湯の量は140×人数分+α必要である。
何故なら、カップとコーヒーサーバーもお湯で温めておく必要があるからだ。せっかく熱々のコーヒーを淹れようとしていると言うのに、器のせいでヌルくなってしまっては興ざめだ。

湯を沸かしている間、ドリッパーにペーパーフィルターをセットして、挽いてある豆を準備する。
豆は一杯140cc淹れる場合、15gほど淹れよう。(粗挽きの豆の場合であるため、少し多目かもしれない。)
その後2杯3杯と増えるにあたっては、一杯目の量から5gずつ豆の量を増やしていこう。つまり、二杯分なら20g、三杯分なら25gといった具合である。味を抽出させる作業であるため、
単純に豆の量が倍ずつ増えていくという訳ではない。
カップの分だけ豆を入れたら少し表面をならして、ドリップをしやすくしよう。

さて、湯が沸騰したとしても、そのグツグツしたお湯でドリップしてはならない。
沸かしたお湯は85℃~90℃くらいまで落ち着かせてからドリップをするのがベストだ。
ここに温度計(ポットの注ぎ口に付ける)を使うこだわりを持った方もいるが、そこまでしなくても、沸騰したお湯を他のポットに移しかえるだけでも大体90℃くらいにはなる。先述したように、器の温めも忘れずに。
しっかり温まったサーバーのお湯を捨てたら、次はいよいよドリップである。

五つ、淹れ方にこだわるべし。

ドリップ。今までのことはほんの些細なことで、このドリップこそが美味しさの全てを決めるといっても過言ではない。
ドリップの始めの行為として巷でよく聞くのは豆を蒸らす、という表現だ。しかし実際には、湯をコーヒーに馴染ませる行為であると言っておきたい。

やり方としては、少しだけポットを傾け、細い湯を粉の中心に円を書くようにゆっくりと落としていく。五百円玉くらいの大きさをイメージしてもらえると分かりやすい。新鮮な豆であれば、沸々と音を立てながら、茶色い泡がこんもりと膨らんでいく。


画像はネルドリップ(布によるドリップ)であるが、泡のイメージはこんな感じなので参考にしてもらいたい。

30秒ほどで泡の膨らみが収まる。そこまで待ってからもう一度円を書くように、もしくは「の」の字にゆっくりと細い湯を注いでいく。真ん中からあまり離れすぎないように、そして先ほどの豆の泡から湯がこぼれ出ない程度の量に調節することに注力してほしい。ぶくぶくと膨れる泡が平らに潰れないように湯を注いでいこう。次第にぽたぽたとコーヒーが落ち始めてくる。ふちにかからないように気を付けながら、湯を円状に注いでいこう。湯を細く二回しして、様子を見る。そしてまた二回し。抽出予定の半分量まで来たら、徐々に湯の量を多くしていく。
ドリップの時間は大体2分半から3分を目安に淹れていこう。それ以上時間がかかってしまうとコーヒーの雑味(飲んだときに口のなかに残るエグみ)が出てきてしまう。

またこのドリップにおいて、やってはいけない禁忌が二点ほど。一つはドリッパーの側面に湯を当ててしまうこと。もう一つは湯の入れすぎによる、意図しないファーストドリップ(最初の一滴)だ。コーヒーの油分を上手くフィルターに染み込ませることで、コーヒーの美味しさは生まれるのだが、この二つの禁忌は共にフィルターにお湯が染み込んでしまうのだ。これもまたコーヒーの雑味を産んでしまう。

最初のうちはなかなかコントロールが難しい。慣れないうちはドリッパーの縁の方に湯が溢れるし、イメージ通りに湯を注げない。
けれども、そこで試行錯誤をすることがコーヒーの醍醐味の一つだと言える。
失敗と成功を重ねるうちに、美味しいコーヒーとはどんなものなのか、という審美眼も養うことが出来よう。
自分の手次第で失敗も成功もありえると言うのは、なかなかどうして男の負けん気をくすぐる。

六つ、飲むにこだわるべし。

さぁ、淹れ方ついでに飲み方にもこだわってみようじゃないか。ドリップ直後のコーヒーを、先ずは一口。自分が選び、自分がドリップしたコーヒー味を堪能してほしい。次はひと肌より少し温かめな頃にも味わう。実は温度帯によって同じコーヒーであっても味わいは変わっていくのだ。どんな味になるかは……、ぜひ自分で確かめてみよう。ブラックでの飲み方以外にも、砂糖やミルク、お酒などでカスタマイズしてみるのも楽しい。

終わりに

さて、美味しいコーヒーは貴方の目の前に訪れただろうか?
たとえ美味しさを見出だせたとしても貴方は、未だ入り口に立ったに過ぎない。
ここで述べたドリップの方法も、一つのやり方の例でしかない。
奥が深いのは、コーヒーも人生も同じだ。
さぁ、次のコーヒー豆を探しに行こう。
次の淹れ方を工夫してみよう。
もっと特別な一杯が、貴方の人生を華やかにしてくれるかもしれない。

以下に喫茶店DAN AROMAのインタビュー記事のリンクを貼る。
自己流を味わうためには不要かもしれないが、氏のコーヒー観について、是非一読していただきたいと思う。

コーヒーの道を行く先達が何を感じているのか、必見である。





さて、次はコーヒーのどんな話をしようか。

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編集部 岡田悠吾

ウイスキーが深まる季節がきました。

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