カテゴリ: カクテル・その他

アブサンの歴史

錬金術師、スピリチュアルな切り口から考察していくと、古代ギリシャ時代に遡るという歴史あるお酒、アブサン。しかし、お酒に詳しい方を除いては、まだあまり認知されていないのではないだろうか。
アブサンは、もともとヨーロッパ地方に自生しているキク科のニガヨモギを主原料とした薬草を使ったリキュールである。
このお酒の起源は、18世紀末にスイスの医師がニガヨモギを蒸留させて独自の処方を考案したことにある。
後に、フランスの大手酒販企業のペルノ社が商品として製造し始めたことで、世に広まるようになる。
リキュール類の中でもくせのある味や色味など、当時のフランスを中心に一世を風靡するほど注目されたのがアブサンなのだ。

とりわけアブサンならではの飲み方があり、ここでは代表例を二つ取り上げてみたい。
一つは角砂糖にアブサンを垂らし、まるでコーヒーのように水を使ったドリップ式で飲む方法。
アブサンはアルコール度数が高く、苦味もきついので余程のツワモノでないとストレートでは飲めないからである。

もう一つは、アブサンを飲む専用のグラスとスプーンを使う方法。スプーン上に角砂糖を置き、アブサンを数滴垂らし火をつける。すると、薄暗い場所でのみ確認できる不思議な青白い炎があがる。角砂糖の適当な溶け具合を見計らって火を消し、グラスをかき混ぜて飲むというのが二つ目の方法だ。
こちらはどことなく、昔の理科の実験でやったべっこう飴作りに似ているように感じる。
アブサンには印象深い飲み方や背景があり、そのことも人々の記憶に残るお酒として広まっていった理由の一つとなっているようだ。

こちらがアブサンの元祖、ペルノ社のアブサンだ。

芸術家も愛したアブサン

アブサンの持つ独特の雰囲気や飲み方などが話題を呼び、19世紀のヨーロッパでは、街角にある今でいうカフェバーのような喫茶店で愛飲されるようになった。その中で、著名な芸術家にも広まっていき、彼らはアブサンの持つ魅惑の味・風味からインスピレーションを受け、作品として昇華させていった。
誰もが知っているであろう、ゴッホやモネ、ドガなどが愛飲し、アブサンをテーマにした作品を残している。

なぜ、これほどまでに芸術家を魅了していったのであろうか。
少し科学的な視点から分析してみると、ニガヨモギの香味成分であるツヨンという成分は脳に向精神作用効果・一種の高揚感を与え、普通のお酒では味わえない、ハイになる感覚を味わうことができたのだ。

一説には飲む麻薬、マリファナなどとも言われており、一種の中毒症状を喚起させ、愛飲家達の間では爆発的な人気になったのではないかとされる。こういった高揚感から新たな作品へのアイデアが生まれ、後世に語り継がれるような作品を生み出した。

製造中止から復活、そして現代の味を嗜むアブサンへ

アブサンの禁制化については、上に書いたアブサンの持つ向精神作用効果が、時に幻覚症状や錯乱、中毒性を引き起こす可能性があるとして、19世紀末にコンゴ共和国を筆頭に欧州での製造が中止される。
それだけが問題だったのかについては諸説あるようだが、この事実に対して、都市伝説のように小説や錬金術との関連性を記したものも多く存在するなど、ここまで人々の関心を集め、話題になるお酒もそう多くはないだろう。

次に復活したのは1981年。
WHOが主成分のツヨンの使用基準が見直され、以前よりツヨン含有量を少なくすることを条件に販売が許可され、日本でも取り扱うバーが出てきた。それでもまだまだ数は少ないのが現状であり、まさに知る人ぞ知るお酒なのである。
また余談だが、あの有名な文豪の太宰治も、当時の日本の酒造メーカーが製造していた和製アブサンの愛飲家であったといわれている。
アブサンについては様々な情報や説があるが、一度実際に自分の舌でその独特の味を試してみることをお勧めする。
筆者が飲んだ感想はというと、アルコール度数が異常に高く(70度)、テキーラとも違う不思議な感覚が口元で残っていた印象を受けたので、参考にして頂けたら幸いである。

なお、同じくアニスを用いたハーブ系リキュール、「神のお酒」ウーゾについてのこちらの記事もぜひ読んでみてほしい。

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