カテゴリ: 大人の嗜みガイド

水タバコ(シーシャ)って?

水タバコというのは、甘く香りづけされた煙草のこと。煙草といっても我々が通常見かけるシガレットとは全く異なったもので、実際吸ってみればわかる通り、煙草の特有の香りは一切なく、それゆえに煙草慣れしていない女性や若い層にも人気がある。シーシャという呼称も広く普及している。
いったん水に通すことで煙草の煙のきつさ、匂いをやわらげることができ、また煙自体も冷えているため非常にマイルドな吸い心地となっている。
定番の林檎やバニラから、珍しいものではレッドブルまで、その香りも限りなく種類があり、飽きることなく楽しめる。吸っていられる時間が一時間を超え、のんびりとした時間を過ごせるのも人気の一因であろう。

基本的には葉巻がそうであるのと同様、ゆったりとした時間を過ごし、友人との歓談を楽しむためのものだと考えていただければ間違いはない。

水タバコの歴史

そんな水タバコ、その起源については諸説あるが、約四百年ほど前にインドで発明された、ココナツの実に竹の棒をさし、それで煙草の煙を濾過するという装置が原型となっているという説が有力だ。一説によればムガル帝国のアクバル大帝がその成立に関わっているのだという。一方でインドではなくペルシャにその起源をもつという説も唱えられており、その理由としてサファヴィー朝ペルシャのタフマスーブ一世の時代の詩人が水タバコに言及しているというものが挙げられている。
なんにせよそのようにして生まれた水タバコは、すくなくともその成立からしばらくの間は貴族や豪商等、特権階級のステータスとしての意味合いを強く持っていたといわれる。そうした背景を考慮に入れると、インドないしペルシャから中東イスラム圏に広く普及した水タバコが、当時のイスラム諸国の覇権国であったオスマントルコにおいて、現代みられるような豪奢な器具として発展を遂げたことに違和感はないはずだ。

このように長い歴史をもつ水タバコが、現代のようにさまざまなフレーバーで楽しめるようになったのはごくごく最近になってからである。
1986年、エジプトのナハラ社が本格的にフレーバー付きシーシャ(水タバコ)の開発を始めた。それまでにもエジプトの一般市民の間では、煙草にジャムなどを混ぜることで甘い香りを楽しめるという事実は知られていたが、本格的に研究がすすめられたのはこれが最初だ。そして3年後の1989年にアップルフレーバーの水タバコが販売されると、香り付きの水タバコは瞬く間にエジプト、そして世界に普及し、紙巻煙草に押されて衰退しかけていた水タバコ文化を再びメインストリームに押し上げた。
ちなみにこのナハラ社は現在JTの傘下にある。

日本でも以前から中東料理を出す店では、在日中東人や、中東渡航経験者の間で嗜まれていたが、それが今日のような形で普及するようになった経緯には大きく分けて2つの理由があるだろう。
1つ目の理由は近年のヨーロッパや、特にアメリカにおける爆発的な普及(アメリカではおもにフーカーという呼称で親しまれている)にともなう日本への流入である。そして2つ目の理由は、いわゆる“サブカルチャー”のメインストリーム化によって、これまではマイナーだった様々な趣味が脚光を浴びているという文化の逆転現象の発生である。特に東京において水タバコの盛んな地域である下北沢や吉祥寺が、同時にサブカルの街でもあるということからもそれが伺いしれよう。

イスラム諸国における文化的背景

イスラム圏、とくにエジプトやトルコなどのヨーロッパよりのイスラム圏では喫煙が非常に盛んだ。イスラムの戒律において酒が禁止されていることから(タバコはコーラン成立当時まだなかったので具体的に禁じられてはいない)歴史的に喫煙が飲酒を代替してきた。もちろん喫煙の是非は議論されているし、戒律の厳しい地域では禁じられている(イスラム国では喫煙は鞭打ちに値する)とはいえ、依然としてエジプト、トルコにおける喫煙率は極めて高い。

酒はコミュニケーションを円滑に進めるためのツールとしての側面を強く持つ。酔いは舌を軽くするし、また“飲み”という場は、単に食事をとるよりも話を弾ませ、長時間の歓談を可能にするのである。
水タバコもそれと同じだ。一回吸うのに1時間から2時間ほどかかるということ、タバコ独特の酩酊感を伴うということ、こうした特徴は飲酒の禁じられているイスラム諸国において、水タバコをして酒の代替物、すなわち“コミュニケーションの場”たらしめてきた。(といってもトルコは飲酒が禁じられていないといってもよいが)


葉巻もまた、吸いきる時間の長さから、コミュニケーションを円滑にするためのツールとして有効であるが、イスラム諸国で葉巻ではなく水タバコが普及したのはなぜであろうか。

まず一つ、理由として考えられるのは、水タバコの煙の持つ清涼感だ。水に濾過された煙は、特に中東の気温の高い地域において、暑さを和らげるのにも適しているし、人によっては不快に感じられるたばこの匂いも、濾過されることによっておおいに軽減される。
そしてもう一つ理由として考えられるのは、水によってタールやニコチンが濾過されるため、肺喫煙が容易であるということだ。飲酒の代替として喫煙を考えるとき、単にふかすだけでは得られない肺喫煙独特の酩酊感を求めるのは必然だといってもよいだろう。この肺喫煙の容易さはタール、ニコチンともに極めて重い葉巻では得られないものである。

終わりに

今回掘り下げた水タバコ、おそらくこれからしばらくの間は流行が続くと考えられる。JTがエジプトの水タバコ大手ナハラ社を買収したのも、それを睨んでのことだろう。
アクセトリー編集部としてもこの流れをしっかり見据え、今後も注目していきたい。

水タバコの吸い方入門についての記事も参考にしてほしい。

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編集部 三宅隆平

脳髄を置いてきぼりにして走る

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