コーヒーの淹れ方指南。‐どの器具で淹れるか。前編‐

コーヒーメーカー、コーヒーマシンも良いが、自分で淹れるコーヒーもまた美味しい。これは自らコーヒーにこだわりたい人たちに贈る、コーヒーの淹れ方入門。その抽出方法の種類は多い。ネル、ペーパー、フレンチプレス。様々あるコーヒーの淹れ方。今の自分の淹れ方だけが世界の全てではない。 ハンドドリップの奥深さも魅力であるが、次なるコーヒーライフの発展のために、いつもと違う器具を使ってみてはどうだろう? 前編は主に、メジャーな抽出について紹介する。

貴方にとってのドリップの器具とは

コーヒーの魅力に取りつかれた者なら誰でも、きっと自分流のこだわりを持っていることだろう。豆、カップ、ドリップの作法。自分で納得のいく一杯を淹れるためのこだわりがそこにあるはずだ。
けれど、だからこそ悩ましい。もしあなたにお気に入りの豆があるなら、その豆をもっと楽しみ、より美味しくするために何をしたらいいか。戸惑い、悩んだことは一度きりではないだろう。
今回はそんな悩めるコーヒー探究者達への一助として、コーヒーを淹れる器具についての話をしたい。
バラエティに富んだコーヒー器具。知識としては知っていても、実際に試したことのあるものが少ない……。そんな人が器具の魅力に気付いてくれると嬉しい。
気分によって抽出の仕方を変えてみるのも楽しいものである。揃える手間はあれど、もっとカジュアルに、ニュートラルに、日々のドリップに変化を加えてみては如何だろう。

まずは基本のペーパードリップ 揃えやすくて簡単。コーヒードリップのスタンダード。

誰かがコーヒーを淹れている場面を想像してほしい。湯を注ぐと、フツフツと豆が音を立て芳醇な香りが立ち上る。静謐な空気の中、一滴、また一滴と抽出されたカラメル色の滴が落ちる音だけが聞こえて……。

コーヒーを淹れたことがあるにせよ無いにせよ、誰もがこんなシチュエーションをイメージするとき、そのやり方はペーパードリップが多いのではないか。(ネルを想像した貴方はきっと通だ。)スタンダードなドリップの方法で器具も揃えやすい。片づけもカンタン。初心者から上級者まで、この気さくなドリップ方法を支持する人口は多い。
そんなペーパードリップ。実は性質の全く異なる二つの抽出のタイプの器具があるのだ。

台形型ドリッパーの特徴

いわゆる代表的なコーヒードリッパーの形。ドリッパーと言えばこれを思い浮かべる人が圧倒的に多いだろう。
なぜ形が台形かといえば、ネルドリップというドリップに使われている布の形から着想を得ている。
3穴タイプと1穴タイプがあり、前者は雑味が出ないように素早く落とす特徴があり、後者はじっくりと豆を抽出するため、時間調整が難しい(抽出過多になる)が、後述する円錐型ドリッパーと同様に湯の落ちる方向が一点に集まるため、湯のコントロールがしやすい。
3穴タイプは『カリタ』、1穴タイプは『メリタ』というメーカーが有名だ。
それぞれに一長一短の性質があるからこそ、男たちはそこにこだわりを見出してしまうのかもしれない。

円錐型ドリッパーの特徴

コーノ式やハリオ式のドリッパーが有名な円錐型。
台形型よりも、よりネルドリップに近い味わいをネルドリップより簡単にドリップできるのが利点だ。
下部に向かって絞られた形であるため、台形型より湯も豆も一点に向かって集中していく。ペーパーの先端が円錐形を成していることと、ドリッパー内にリブが付いていることによって、湯の落ち方がネルドリップのそれに近くなるのである。
ペーパーの中でも本当に美味しく淹れられる器具の一つとして数えられている。

見た目はワイルドな金属ドリッパー

金属の質感となめらかで美しい曲面は見るだけでワクワクするものがある。ワイルドなボディから織りなすしっかりとしたそのドリップの味わいの魅力に憑りつかれてしまったコアなファンも多い。ペーパーと違い、一つの器具で何回でも使いまわせるところに、利便性を感じる。一つのものをずっと使っていく、という意識も生まれやすいのではなかろうか。ドリッパーとしての美しさと機能性を兼ね備えた点が魅力だ。

抽出の特徴として紙のドリッパーでは吸収してしまうコーヒーのオイルを、ダイレクトに味わうことが出来るドリッパーだと言える。
コーヒー豆の微粉も落としてしまうため、やや舌にざらついた感じが残ってしまう。けれどこのまったりとした舌触りが好きだという方もいる。浸透式(コーヒー豆にお湯をなじませ、コーヒー成分を染み出させる方式)のコーヒーの中でも浸漬式(コーヒー豆をお湯に漬け込み、成分を染み出させる方式)よりであるため、後述のフレンチプレス式やクレバーコーヒードリッパーなどに味わいは似ているだろう。

フレンチプレス

ガラスの容器に銀の蓋。調度品のような美しさと繊細さを持ったフォルム。デザイン的にも機能的にも「ティーポット」を想起させられる。実は”フレンチ”と名がついているものの発明したのはイタリア人。第二次世界大戦後にフランスのカフェで多く使用されたことでその名がついたと言われている。正式名称はコーヒープレス。
じっくり抽出してぎゅっ、と粉を下部にプレスする瞬間も(とても個人的に)楽しい。

口当たりの重さから来るふくよかでまったりとした味わいは、まるで同じコーヒーを飲んでいるとは思えないほど。一度ハマると抜け出せない、そんな方たちが多い印象である。紙のドリップと違ってコーヒーオイルを余すことなく味わうことが出来る。注意点として、コーヒーの微粉が注いだカップにも溜まるためそれだけは気を付けた方がいいだろう。その微粉がもたらす所謂粉っぽさが美味しさの秘密であり、好む人を選ぶところでもある。飲んでみたことの無い方は是非試してほしい。

魅せるサイフォンコーヒー。空間を支配する幻想的な抽出方法。ひと手間を楽しむということ。

アルコールランプの火が踊り、フラスコの湯がコポコポと音を立てて湯が上部のガラス部分に吸い込まれていく。
やがてその中でコーヒー豆とお湯が混ざり合い、煮込まれ、段々とコーヒーが作られていく……。
そんなロマンチックな演出でコーヒーを淹れるサイフォン式の作法を見ていると、さながらファンタジーの世界に迷い込んだかのようだ。

サイフォンコーヒーの魅力は何といってもその豆の特徴を強く押し出してくれる「味」である。それに反して、コーヒー豆をお湯の中にずっと浸け込んでいるため、どうしても香りが飛んでしまう。だから香りを存分に楽しむのなら、ドリップコーヒーの方が良いだろう。味をしっかり楽しむか、香りも楽しむか。好みに合わせた器具の住み分けが為されていると言っても良い。

集める器具が多いことと抽出の時間が長いことが難点で、それぞれの器具の手入れも注意しなくてはならない。その裏に隠されているのは、器具という観点で見れば、趣味としてのコレクション性、時間をかけること、男のこだわりを存分に生かせる要素が、一番多い部類なのだということだ。些細なところにまでこだわったサイフォンは、きっとインテリアとしても有意義に機能してくれることだろう。

ウォータードリップ 水出しコーヒー

日本の夏は本当に暑い。毎朝熱い湯でドリップしていても、その季節だけはせっかくのドリップを嫌厭してしまうかもしれない。そんな時、いつでも冷蔵庫の中にあると助かるのは水出しコーヒー。たくさんの氷をグラスに入れて、濃いめのコーヒーを注ぐ。気分を変えてシロップやミルクなどを加えても良いかもしれない。

市販のアイスコーヒーとの違いは、自分の「お気に入りの豆」で冷たいコーヒーを淹れることが出来ること。
自分のお気に入りの豆で淹れる一杯が、水出しによってどのように変わるか。と言った楽しみ方が出来る。
なにより火照った身体と渇いたのどを癒す存在として、きっと重宝するだろう。
水でじっくりと抽出するため8時間から12時間ほどかかってしまうが、ストレーナー(コーヒー粉を入れておく部分)に粉を入れ、水を入れたあとは好みの濃さになるまで放置していればいい。
手軽なドリップ方法の一つであると言える。
味わいは、良く言えば優しい味。否定的に見ればどっちつかずなぼやけた味。
それぞれの特徴の出るストレートの豆よりは、ブレンドされた豆の方がドリップの特性にマッチしているのかもしれない。

最後に

存在はメジャーな器具でも、実際に使ってみたことのあるものは意外と少ないものである。これを機に普段は使うことの無かった抽出器具に挑戦してみては如何だろう。

一つの豆に千の味を。
とまではいかないものの、器具の違いで変わっていく味わいを面白いと感じ、その多様性を楽しんでいただけたら幸いである。どんな淹れ方ならこの豆は一番おいしいと感じられるのだろう、そんな風に思うようになって試行錯誤を繰り返すという楽しみ方が出来るときっともっとコーヒーのことが好きになれる。

 

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