前原光榮商店 いい傘とエコロジー

いい傘なら無駄に消費しない。

身体が濡れないように雨を受けるという役目からいえば、ビニール傘は立派な傘である。予期せず雨が降った場合でも、ビニール傘ならコンビニやスーパーで手軽に調達できるので便利だ。しかしある日、そうして家の玄関に溜まっていったビニールの束に、急場凌ぎで買った一本を帰宅してまた挿した時、嫌になるほど“消耗”を感じたことがある。その時なんとなく、ずっと大切にしていけるようないい傘が欲しいと思った。

そして、英国の名品フォックスを買った。イタリア随一といわれるマリア・フランチェスコも買った。長く使いたい傘の3本目となったのは、日本の前原光榮商店。1948年創業の老舗で、皇室御用達の傘と呼ばれている。前原の代表作は初代が考案したという16本骨。僕は迷うことなく、サックスブルーの16本骨を購入。開けば美しい半円を描き、閉じると織りなすドレープが細かい。熟練した職人の手作業が目に浮かぶようだ。

いい傘というのは、不思議と置き忘れしない。大げさだが、緊張感が違う。たとえ酔ってどこかに置き忘れたとしても、僕は探すと思う。ビニール傘のように、また買えばいいじゃないか、とはならないのだ。これまた大げさだが、大切に使うことがエコロジーにつながる、モノとのつきあいはそんなふうにしていけたらと思う。やむを得ずビニール傘なんていうことはまだまだあるとは思うけれど……。

前原光榮商店

1948年、東京台東区で前原光栄によって創業。絹の傘やろうけつ染の生地を張った傘、天然の木材を手元に使用した傘など、洗練された部品を使って作られるこだわりの傘として知られ、皇室をはじめ多くの著名人に愛されている。寒竹やマラッカなど、傘の表情をつくる手元の素材を自由に選べるところがいい。


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着ること、食べること、住まうこと、暮らしの基本を大切にすることが豊かな生き方につながるということは間違いないでしょう。では、その暮らしの質についてはどう考えたら?

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