カテゴリ: 大人の嗜みガイド

leave them all behindとは??

leave them all behindは2009年に初めて開催され、不定期に催されつつ、今年で五回目を迎えた日本唯一の(そして世界でも類を見ない)轟音フェスだ。初開催から音楽ファンの間で非常に大きな注目を浴び、毎年のようにソールドアウトしている人気のイベントである。

轟音の魅力

轟音といっても、LTABに出演するアーティストたちの音は決してノイズではない。脳みそを切り裂くような音像ではない。それは壁であり、我々をつつんでいる空気である。僕らの剥き出しの感性を守ってくれる皮膚である。

そして僕らを圧倒するその轟音、我々を押し包む音の奔流は崇高さの表れだ。そこに身をゆだね、濁流に落ちた木の葉のように揺蕩う快楽をぜひアクセトリーの読者にも体験してほしい。

2015年、出演アーティスト徹底解剖

9月22日出演アーティスト

MONO




歌がなくても、音楽だ。ロックだ。当たり前のことを教えてくれるのが、今や世界的なアーティストになったポストロックバンド、MONOである。
その静と動のエモーショナルな音像は、それを聴く僕らの胸を揺さぶる。インストのポストロックバンドなんていうのは世界に山ほどある。でもMONOが彼らと決定的に違うのは、どこまでもその音に“意味”があるという点。暗がりを、霧を静かに切り裂くようにギターのアルペジオがなり始めたとき、涙が滂沱として流れていることに気付くはずだ。

envy




激情ハードコアというジャンルを知っているだろうか??
激しい悲しみや怒り、歓喜を、美麗なメロディをかき鳴らすギターの上で叫ぶ、そういう音楽だ。今、世界的に波が来ていて活発なジャンルの一つであるが、その激情ハードコアの中でもenvyは伝説として崇められているバンドの一つであり、影響力も非常に大きい。
ちなみに上の曲は資生堂のCMに使用されたこともある名曲。ただただ壮大な音像に身をゆだね生を讃えよ。これは激情ハードコアの極北である。

Boris



今、世界の音楽シーンで最も影響力のある日本のアーティストはだれだろう、と聞かれたら僕は迷わずこう答える。
それはボリスだ、と。彼らこそが日本の、いや世界の音楽の最前線だ。
彼らはメタルか、ロックか、ポップスか、はたまたノイズやドローンアンビエントか。
いや、ちがう。それは音楽だ。彼らの鳴らすものこそが音楽だ。
あらゆる音楽のジャンルを飲み込み、なんて表現はしばしば使われるけど、本当にあらゆる音楽を飲み込めるのは、きっとBorisだけなんじゃないかとすら思う。
それは上にあげた一曲にも表れている。スモークのようにとらえがたいギターサウンドに四つ打ちのリズムが切り込んできて、僕らを躍らせようとしたかと思えば、ギターの轟音が鳴り響き、ドラムが雪崩を打ったかのように走り出す。
映画監督ジムジャームッシュがBGMに使用したのも納得である。

SUMAC



初日のトリとして用意されたのは、轟美重音音楽界の巨匠、アーロンターナー率いるSUMACである。
ISISという(イスラム国ではない)伝説的なバンドで、世界中にフォロワーを作り出したアーロンターナーの新しいバンドはずいぶんと荒々しい音を鳴らしている。
MONO、envy、borisと割とおしゃれでサブカル寄りのバンドが並ぶ一日目の中で一際異彩を放った荒々しい混沌の美、デュオニュソッス的な興奮を届けてくれるはずだ。轟音で混沌としていながらも、グルーヴィで乗れるのは、リズム隊と高度に構築された構成のおかげだろうか。

ちなみに二日目のトリもSUMAC。

9月23日出演アーティスト

black ganion



初日のバンド陣が静と動のなかで感情を揺さぶらんとするアーティストであったのに対し、二日目は熱く血をたぎらせるようなハードコアよりの猛者が揃っている。
名古屋から来たblack ganionもその一つ。グラインドコアとよばれるジャンルを軸にしているものの、アンビエントな豊穣が顔を覗かせたり、いきなりグルーヴィー&へヴィな大曲が飛び出したり、我々の理解の先を行こうとするバンドだ。

COHOL



美しい、寒々しい、それでいてどこか力強さのある、そんな音楽で国産ブラックメタルの新境地を切り開いたCOHOLは先月発売のセカンドアルバムでいよいよ世界デビューを果たした。残念ながら僕はまだアルバムを聴けていない。だがきっと絶望に寄り添うような、真冬でも心だけはすこし温もっているような素晴らしい音楽を鳴らしているのだと思う。
そんな彼らの醍醐味はなんといってもライブだ。聴くのではない、感じるのだ、なんて使い古された表現は決して使いたくないけれども、グルーヴィーでもなければダンサブルでもない、どちらかといえば冷たくて機械的なはずの音は、ライブでは肉体感をもって僕らに迫ってくる。

DISGUNDER



おそらく今回のメンツの中でもっともハードコアでストレートな音を鳴らしているのがこちらのDISGUNDERだろう。激しいながらも熟練のキャリアに裏打ちされた演奏は抜群の安定感を誇る。紅一点の女性ボーカルの叫びがアツい。

ENDON



現代の日本のノイズシーンでもっとも挑戦的で人気の高いバンドはやはりこのENDONなのではないかと思う。きっとそれは、前述したBorisがプロデュースしているというだけではなく、非常に知的、構築的で確信犯的信念に基づいた音楽をプレイしているからだろう。
ただただうっさいだけに聞こえるかもしれないけど、よくよく耳を澄ませてみれば複雑な展開や興味深い音の多彩があり、しかしそうした難解さを難解とも思わせぬ説得力がある。
その凶悪な、感情を排したサウンドは本フェスでも一段と際立って響くはずだ。

かつてはステージングがブチぎれていて怖いことで知られていたが、最近はそうでもなくなったので安心して観に行ってほしい。

最後に

このLTABというイベントは年によって全然テイストやメンツが変わるのだが、今年は、一日目にポストロック寄りのおしゃれできれいなサウンドを特徴とする洗練されたバンドが、二日目に、荒々しい衝動に満ちた若手バンドが揃うようだ。

ぶっちゃけ轟音なんてなじみないよ。という人も多いかもしれない。そういう人には一日目のプログラムを、普段の鬱憤を音楽に預けて吐き散らしたいという人には二日目のプログラムをおすすめする。

すきまなく音に身体を埋め尽くされる感覚は、それを経験したことのない人にとっては理解できない快感だ。
おそらく最もこの類の音楽に近いのは荘厳なオルガンやオーケストラのようなクラシック音楽ではないだろうか?
いままでに経験したことがないなら、まずはこのフェスから始めてみてはいかがだろうか?

アクセトリー編集部は今後も轟美重音の音楽に魅力について発信していきたいとおもう。

関連タグ

タグから記事を探す

 次の記事へ 
編集部 三宅隆平

脳髄を置いてきぼりにして走る

RANKING

最近人気の記事ランキング

RANKING

RECOMMEND POSTS

ACCETORY編集部おすすめの記事

THE BEST POSTS

過去に人気を集めた記事をピックアップ

THE BEST POSTS

NEW POSTS

最新の記事一覧

NEW POSTS

特集

ACCETORYおすすめの特集

特集一覧

TAGS

タグから記事をさがす

TAGS
TOP