カテゴリ: 大人の嗜みガイド

海と崇高

海は崇高だ。単に美しいだけではなく、そこには僕らを打ちのめすような壮大さがある。
海において僕らは、陸においてそうである以上に、遥かに無力である。どこまでも限りない深淵があり、陸ではありえない巨大な生物、海流のうねりがある。

僕らを決定的に無力なものとしてしまう海は、時として僕らに恐怖を、おののきを感じさせるだろう。だがそれは同時に、自分の身体を、意識を、理性の範疇の先にある神的なものに委ねるという歓喜をも僕らに感じさせるであろう。

そしてそうした崇高さの一方で、僕らは海、地球上の全生命の故郷であるような超越的母性としての海に、どこか郷愁を感じるであろう。
そうだ、海に相対するその時、僕らはただちっぽけな胎児となるのである。


とはいえ、そうした海の崇高さに触れることはなかなか難しい。
海に触れようと思って真っ先に思いつくのは海水浴場。でもそこに僕らが求めている海はない。
焼きトウモロコシの匂いや、色とりどりの浮き輪の浮かんだ海、出会いを求めてやってくる男女、そうした、どこか歌舞伎町を思わせるようながやがやとした海も悪くないけど、でもそこに崇高さなんてものはかけらもない。

そこでお勧めしたいのが水族館だ。

水族館,それは母なる海の断片

水族館、それは決して、夏のデート先に困ったカップルや、子供の自由研究に付き合うパパママのための場ではない。
しばしば魚屋の上位互換、多種多様な魚介類の展示場としてみなされがちな水族館だけど、僕はむしろそれを壮大な、連続的な海の断片としてとらえるべきだと考えている。

水族館は個々の魚や、アザラシ、イルカ、そうしたものの単なる集合ではない。それはむしろ母なる海、豊穣の海、子宮としての海の断片である。

今回アクセトリーは、切り取られた海としての水族館のもつ崇高さに着目し、その楽しみ方、おすすめの水族館を紹介したい。

如何にして崇高さを味わうか

「いきなり崇高とかいわれても……」
そんなあなたのために、アクセトリー編集部が、如何にして崇高に水族館を味わうか、そのハウツーを伝授させていただきたい。

考えない

崇高さとは、思考の限界、言語の限界の、そのはるか先にある神的なものへの、名状しがたい感情のうねりである。
実際の壮大な海に接したときに自然に湧き上がってくるはずの感情を、水族館において再現しようとするなら、逆にこちらの思考の限界を下げてやればいいのである。
したがって、崇高さをもとめて水族館にいくときは、「あの魚はなんて種類の名前だろうか」等はあまり考えないほうがよかろう。
思考ではなく想像力の翼を広げていきたいところだ。

夜いく

夜の水族館もおすすめだ。

夜遅くまで営業している水族館には、ライトダウンして、夜の魚の生態を見せてくれるところがある。
ふらふらと漂うように泳ぎ、かつ眠る魚を観ているうちに、本当に海の一部に、波のうねりの一部になったかのような神秘感が味わえる。
寝袋付きで泊まれるようなプランもあり、海の中で眠る感覚を味わうこともできる。

崇高感が味わえるおすすめ水族館

当たり前だけど、崇高さに着目して作られた水族館なるものは存在しない。
でも、水族館の崇高さは、おおむね水槽のサイズに正比例するので、水槽のおおきい水族館にいけばわりと崇高さを味わえる。
今回は日本に数ある水族館の中から、崇高さにおいて秀でている三つの水族館を紹介する。

葛西臨海水族園 -都内最大の水槽

都内最大の水槽をもっているのが葛西臨海水族園である。
ウリにしていたマグロ達が謎の変死を遂げ、ついには六匹にまで減少してしてしまったというニュースは記憶に新しい。
とはいえマグロがいなくともその崇高さは変わらない。都心からのアクセスのよさと、700円という驚くべき入園料は、なるほど都心随一の人気も納得である。

ちなみにペンギンが多くいることでも有名。

海遊館 -水族館を変えた巨大水槽

従来の水族館のイメージを決定的に変えたのが大阪は天保山にある海遊館だ。
海をみせることをコンセプトにつくられた海遊館は、従来の魚にフォーカスした水族館に衝撃を与えた。
水量5400トンの日本第二位の巨大水槽を持つこの水族館は、いまもなお挑戦を続けている。
水槽だけではなく、水族館自体が八階建てというスケールのおおきさ。
関西人が選ぶおすすめ観光スポットではUSJを抜き去り一位に輝いたらしい。

美ら海水族館 -日本最大、世界第二位の水族館

アクセトリーは断言する。日本で最も崇高な水族館は美ら海水族館である。
沖縄随一の観光名所であり、日本最大、世界でも第二位のこの水族館の目玉は、黒潮の海とよばれる長さ35m×幅27m、深さ10mの巨大な水槽とジンベエザメだ。
海遊館をはじめとしてジンベエザメのいる水族館は他にもあるが、美ら海水族館のジンベエザメは、その巨体においてそれらとは一線を画する。
他の水族館のジンベエザメがせいぜい5m程度なのにたいし、こちらのジンベエザメは9mと倍近い巨躯を誇っている。

ちなみにジンベエザメは、プランクトンを主食としており、同じくプランクトンを主食にしているアジやイワシ、さらにそれを餌にしているカツオやマグロなどと一緒にいることが多い。
ジンベエザメがあらわれると他の魚も大量になるため、かつての日本では「福の神」としてみなされてきた。

僕自身、美ら海水族館でこのジンベエザメをみたことがある。一面に広がる水槽、その中で雄大に泳いでいるジンベエザメをみて、なるほどこれは神様であるかもしれないと感じたのであった。
遠く沖縄まで行く価値のある水族館だ。

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編集部 三宅隆平

脳髄を置いてきぼりにして走る

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