カテゴリ: 大人の嗜みガイド

大人の嗜み、万年筆

いい加減100円ボールペンを卒業しないか? 自分のために誂えたかのような一本に出会いたくはないか? 
万年筆はそんな大人の男たちの嗜みだ。

今回アクセトリーは、万年筆の嗜みを教えてもらうべく、アメ横はマルイ商店、白井英明氏のもとに話を伺いに行った。

最初の一本、PLATINUM 3776 CENTURY

初めて万年筆を買うという方に人気なのがこれだね、と言いながら白井氏がショーウィンドーから取り出したのがこちらの一本。

「PLATINUMというメーカーの3776CENTURY。こちらは非常に人気が高い。一日に1ダース売れたこともあるね。色が豊富なのも若い人にはいいみたいだね。この青いのがシャルトルブルー、赤がブルゴーニュ、黒がブラック。」

確かにその鮮やかな色合いと透明感は、10,000円という価格からは想像もできないほど高級感がある。

「国産メーカーのものだから、細めで漢字も書きやすい。」

一方で外国のものは、やはりペン先が太くなっているものが多いという。

「でもね、万年筆の魅力はやっぱり太字なんだよ。太いほうがにじみ方とか、かすれ方に味があるんだ。」

万年筆の魅力がすべて詰まった一本 -Pelikan スーヴェレーンM1000

万年筆の魅力がすべてつまった一本として白井氏が出したのがペリカンというメーカーの万年筆「Pelikan スーヴェレーン M1000」

「このペリカンってのはね、ペン好きの方からも強い支持を集めている人気のペンでね。私のおすすめ。」

ボディもさることながら、そのペン先も美しい。

「ペン先にも種類があってね、これは18金を使用したペン先なの。これだとペン先が軟らかいからスラスラ書ける。それにたいしてステンレス製のペン先ってのもあって、ステンレスで硬いでしょ、だからガリガリ書く感じになる。」

終わりなく奥深い、魅力的な万年筆の世界

「もうね、万年筆の魅力を語ろうと思ったらいくら時間があってもたりないよ。一本買うと、あれもこれも、と目がいってしまう世界だね。」

そうなってくると気になるのが、以上のようなエントリーモデル以上の高級万年筆の世界。

たとえば、と白井氏がショーウィンドウを覗いて出してきたのが同じくペリカンの万年筆だ。

「普通の万年筆に飽きてしまった人は、こういう装飾のついた万年筆を好むかな。これはペリカンのトレドってモデルなんだけどね、ほら、すごいでしょ。」

「これなんかはね、銀の筒をまずくりぬくわけ、そのあと酸化で腐食させるでしょ。そしたらこの金被せて職人が手で彫って模様にしてやるのよ。」

そうしたアナログで頑なな製法で作られた万年筆は芸術品のごとき普遍的な美を兼ね備えることになる。

こちらのモデルでも普通に買ったら十万を超えるというが、万年筆の世界は恐ろしい、もっともっと高い万年筆があるのだという。

「百万近い万年筆もあるけど、もはや筆記具ではなくて、飾るためのものという感じになるね。そういう万年筆を所有しているようなマニアな方になると、何百本も万年筆を持っていることがあるよ。」

そういった超高級万年筆としては、たとえばペリカンの「蒔絵」シリーズがある。

「これなんかは一本一本蒔絵師が手書きで書いているからね、一年に88本しか作れない。」

お客さんの中には、この蒔絵シリーズをひたすら蒐集する方もおられるという。

気になるお手入れは……?

我々万年筆ビギナーが気になるのはお手入れの仕方だ。
それを尋ねると、白井氏は笑いながらこういった。

一番のお手入れは、日ごろから使ってあげることだね。万年筆っていうくらいだから一生使えるんだよ。」

万年筆にも大きくわけて三種類あるのだという。

「一つはカートリッジ式っていって、使い捨てのカートリッジを入れ替えていくタイプのもの。二つ目は吸入式っていって、インクが切れたら、インク瓶にペン先を突っ込んで、吸入してあげるもの。ペンの尻をぐるぐる回すとピストン機構でインクが入るようになっている。最後に、コンバーター式っていって、カートリッジ式と吸入式の折衷みたいなもの。」

吸入式、コンバーター式については、インクを吸入する際に、ペン先がインクで洗い流される形になるので、日頃から使っていればほとんど手入れは必要ないという。

「でもカートリッジ式だけはそれがないから、詰まったら水で洗い流してあげる必要がある。」

誂えたかのような万年筆に選ぶには

どうやって万年筆を選べばいいでしょうか、ときくと白井氏はこう答えた。

「やっぱり一番は書いてみること。書いてみなきゃわからない。」

さらに、と白井氏は続ける。

「本音を言うとね、五本くらいは使ってみて自分に合ったものを選んでほしいかな。」

白井氏によれば、昔の大作家さんなんかは何十本も万年筆を買って、自分に合うものを使ったのだという。
長い歴史を持ったマルイ商店で、お客さんを見続けてきた白井氏の言葉は重い。

「ま、そんなこといっても初めての人には難しいだろうからね、まずはプラチナかペリカンのさっきの奴からスタートするのがいいんじゃないかな。」

それにしても店頭をみていて気になるのは、驚異的なディスカウントだ。どれもだいたい三割から四割以上は定価より安い。
なぜこんなに安い値段で高級万年筆をだせるのか。

そこにはマルイ商店と日本の万年筆普及の歴史の深いかかわりがあった。

次回の特集では、引き続きマルイ商店でお伺いした話をもとに、マルイ商店の歴史に迫りつつ、日本の万年筆事情を明らかにする。

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編集部 三宅隆平

脳髄を置いてきぼりにして走る

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