ポートランダーに学ぶ、都市公園の使い方。

公園はポートランダーの暮らしにすごく重要だ。誰にとっても日常的な「場」として公園が定着している。それはお気に入りのカフェに行く感覚に近いと思う。ポートランドの公園がどんなふうで、みんながどう利用しているのか眺めてみよう。

公園はポートランド暮らしのマストアイテム!

ポートランドは小さな都市だけれど、大小合わせて280も公園がある。そして、ポートランダーの8割は徒歩10分圏内に公園がある所に住んでいる。つまり公園はすごく身近なものなのだ。そういう私自身も今のアパートからは2つ、以前の住まいは3つ公園にアクセスできた。一口に公園と言っても、自然公園、ネイバーフッド・パークなどタイプはあるけれど、ここではポートランドの都市公園としての全般的な特徴を挙げてみよう。

1. 街と自然が共存している。

大きく多彩な木々がある


1. 街と自然が共存している。 |「ポートランダーに学ぶ、都市公園の使い方。」の2枚目の画像

「Laurelhurst Park」 高い木々、水辺、 なだらかな芝生が心地いい。NYのセントラルパークと同じオルムステッド兄弟設計のネイバーフッド・パーク。

ポートランドの公園は元からあった自然木をそのまま景観にしている。だから木が大きくて、いろいろな種類が混在している。木に対して思い入れを持っている人は多く、近所の老木が雪折れした時、住人から「哀しい」という声が最初に聞こえたのが印象的だった。落葉の掃除が大変だとか日陰になるという理由で、木をむやみに切ったりはしない。そもそもポートランドには自分の敷地でも勝手に木を切ってはいけないルールもある。後から並木を植えたり花壇を造ることより、今ある自然を大切にするのがポートランド流だ。

ネイチャートレイルがある


1. 街と自然が共存している。 |「ポートランダーに学ぶ、都市公園の使い方。」の5枚目の画像

「Forest Park」深いダグラスファーの森の中、約113kmのトレイルがつながっている。

ポートランドには全米最大の都市自然公園「ForestPark」(面積約20㎢)をはじめ数々の自然公園があり、どこも沢山のトレイルを整備している。公園と言っても手付かずの自然を保護しているので、一歩入っただけで街の中とは空気感が違い、都市にいることを忘れるようだ。トレイルランニングの好きな人には堪らないだろう。自転車や車椅子でもアクセスできるルートが多いのも特徴。


1. 街と自然が共存している。 |「ポートランダーに学ぶ、都市公園の使い方。」の7枚目の画像

「Tryon Creek」フクロウやハミングバード、野鳥の王国のような公園。清涼なクリークがある。

2. 自由に開かれている。

囲わないつくり


2. 自由に開かれている。 |「ポートランダーに学ぶ、都市公園の使い方。」の2枚目の画像

住宅街のネイバーフッドパーク。周囲の歩道から自由にアクセス出来る。

門や柵がなくて四方発八方から出入り自由。だから公園が街並となじみ、街の一部となっている。誰でも勝手に入れるので治安面が心配になりそうだが、実際には囲いがないことで、むしろ安全が保たれているようだ。オープンであれば人の目も注がれやすいしコミュニティの場という共有感覚も生まれる。ただ利用時間は設けられていて、「閉園」後は囲いはなくとも公園内にいてはいけないことになっている。

水辺が多い


2. 自由に開かれている。 |「ポートランダーに学ぶ、都市公園の使い方。」の5枚目の画像

「TomMcCall Waterfront Park」花火大会やフェスティバルが行われるダウンタウンの市民公園。

流れ、池、噴水、ポートランダーは水辺が大好きだ。フェンスを作らないで直に水に触れられる所も多い。危ないからという理由で囲ってしまうと、水辺の魅力や存在感は薄れてしまうと思う。ダウンタウンの川べりの高速道路を撤廃し、人々の力で公園にした「TomMcCall Waterfront Park」は、ポートランドの市民社会の象徴でもあり、現在のポートランドの形づくる切っ掛けになった公園。都市の水辺は貴重だから、自由な開かれた空間であったほしい。

犬にもやさしい


2. 自由に開かれている。 |「ポートランダーに学ぶ、都市公園の使い方。」の8枚目の画像

「Sellwood Riverfront Park」川と芝生のネイバーフッド・パーク。

ポートランドは全米一のワンコ都市とも言われており、犬を放して遊ばせることのできる公園が32もある。逆に綱を付けてもダメという公園は3カ所しかない(野生動植物の保護のため)。もちろん犬の苦手な人もいる。だからルールも必要だけど、何より大事なのは飼い主の意識。犬がうれしそうに駆け回っている姿を見ると、つくづくポートランドのワンコは幸せだと思う。

3. コミュニティの共有意識がある。


3. コミュニティの共有意識がある。|「ポートランダーに学ぶ、都市公園の使い方。」の1枚目の画像

「Sunnyside School Park」公園を兼ねている学校の校庭。遊具なども使用自由。

たとえば「Sunnyside School Park」は小学校の校庭だ。“Adopt A Park”というコミュニティに公園を提供するプログラムによって、放課後や休みの日に公園として解放している。校庭の周囲に塀はない。この学校は地域のホームレス・ピープルと生徒のサービスラーニングのカリキュラムも実施していて、ここでホームレスの人々が寝ていることもあるが、退去させられたりもしない。しっかりと強いコミュニティ意識があればこそ成り立つ、これもポートランドらしい公園のあり方と言えるだろう。


3. コミュニティの共有意識がある。|「ポートランダーに学ぶ、都市公園の使い方。」の3枚目の画像

近所の公園で結婚式をするなんて、Very ポートランド!

4. 都市公園は大人のための空間。


4. 都市公園は大人のための空間。|「ポートランダーに学ぶ、都市公園の使い方。」の1枚目の画像

「Washington Park」ダウンタウンから近い広大な自然公園。園内に動物園、日本庭園、バラ園などが点在している。

ポートランドの公園面積は都市としてはかなり広い方だろう。でも広さ自体より、その使われ方が大事だ。公園の特徴を挙げているうちに、基本となっているシンプルな事実に気が付いた。それはポートランドの公園が大人のための空間だということ。もちろん児童公園もたくさんある。ただ、その多くはコミュニティパーク内に設けられていて、公園のあり方自体は大人の目線で、大人の使用を基準に考えられている。そして人の多い場所にこそ必要だということ。アメリカも土地の広い郊外より都市の方が公園率は高い。東京も決して公園が少ない訳ではない。ポートランドのように大人達がくつろげて、自分を解放できるいい空間が増えていってほしい。

(文・写真:百木 俊乃 ポートランドの暮らしブログ365Portland.com編集人。コピーライター、クリエイティブ・プロデューサー。日本とポートランドをつなぐプロジェクトの企画プロデュースを行っている)

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