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映画史に残る傑作、ゴッドファーザー


「ゴッドファーザー」

フランシスコッポラのこの名作を知らない人はいないだろう。
アカデミー賞では作品賞・主演男優賞・脚色賞の三部門を受賞し、今でも「○○が選ぶ名作映画十選」の類には必ず名前が載る。当時あまり知られていなかったマフィアの世界を映画にして世に知らしめた(ギャング映画は多くあった)という点でも評価が高い。
音楽、演技、絵作り、脚本、編集のすべてが完璧にかみ合って、極めて高い芸術性を持ちながら大ヒットするという、神の恩寵を賜ったとさえ言えるような傑作である。

そんな超名作を、オーケストラの生演奏付き大スクリーンで観られるこのイベントがとうとう日本にも上陸、8月1日よりチケットの一般発売が行われている。

映画と音楽を組み合わせる、ゴッドファーザーライブとの出会い


今回「オーケストラ生演奏+映画」という新しい試みに挑戦したのは何故なのか。そんな疑問に応えてくれたのが、今回、企画・制作を担ったプロマックスのプロデューサー、飯島氏だ。

「元々、映画音楽を多く手掛けている方と仕事をする機会が多かったこともあり、映画と音楽を組み合わせるということには強い関心を抱いていました。」

「そんな中海外でゴッドファーザーのシネマコンサートをやるという情報を見つけ、これだ!とピンときました。それで実際、シカゴまで観に行ってきたのです。」

実際に観てみてどうだったのか、と飯島プロデューサーに聞くと、

「本当に臨場感が凄かったです。ゴッドファーザーは、以前にも観たことがあり、勿論先の展開も分かっている映画だったのですが、とても緊張感、ライブ感がありました。本当に舞台を観ているかのような感覚でしたね。素晴らしかったです。」


それはきっと一生モノの体験だ。類稀なるコンサートだけが持つ、音楽、演奏者、聴衆の三位一体感と、ゴッドファーザーという完璧な映画が組み合わさったとき、我々はもはやゴッドファーザーという映画を観ているのではなく、ゴッドファーザーの世界を生きることになるのであろう。

実現までのハードルは実に高い


最近こうした形態の「シネマコンサート」と呼ばれる興行は世界的に増えている。日本でもゴッドファーザーだけではなく、アリスインワンダーランドや2001年宇宙の旅等、名作のシネマコンサートが増えつつある。そこには何か、興行主側の事情があったりするのだろうか。

「映画と音楽をこういう形で組み合わせるというのは、映画の版権の都合上、極めて難しいのです。映画は携わる人が多く、何かに使用する際は、多方面に許可をもらう必要があります。もし一つでも「ノー」が出たら、企画はうまくいかなくなってしまいます。」

だが最近そうした流れに変化がおきている。


「しかし、ここ一、二年で、そうした版権上の問題をクリアしてパッケージングするところが、主に海外で増えてきています。今回のゴッドファーザーもそのうちの一つです。

映画の利用が容易になりつつある一方で、困難もあったのだという。

「ごく最近のことなので、日本だとなかなか情報も集めづらいのが現状です。今回のゴッドファーザーも、そのパッケージングをしているところとコンタクトを取るために、アメリカのパラマウントと直にコンタクトをとって交渉を行いました。」

ゴッドファーザーだからこそ映える、シネマコンサート


それにしても名作映画があまたある中で、ゴッドファーザーが選ばれたのはなぜなのだろうか?
「もちろん、海外でゴッドファーザーのシネマコンサートが既にあり、版権上の問題をクリアしている、というのも大きなポイントでした。しかし、それ以上に、ゴッドファーザーとクラシックの相性が極めて良い、というのがやはり一番大きな理由です。

これは映画通の間では知られた話なのですが、と前置きして飯島プロデューサーは続ける。

「本当に映像に力がある映画は、そこまで音楽は必要ないんですね。逆に映像に力がない映画は、音楽が担う部分が大きくなると言われています。」

「ゴッドファーザーという映画は、本当に映像に力のある映画なんですよ。だから音楽はそこまで沢山使われているわけではありません。しかし、音楽に力がないかと言ったらむしろ逆で。そこまで過剰に使われていないからこそ、キメるところでキメる、それが凄く印象的なものになるわけです。」

なるほど、言われてみれば確かにそうだ。昨年大ヒットしたインターステラーも、音楽が極めて印象的で記憶に残るものでありながら、思い返してみればそこまでBGMは多くなかった。


ゴッドファーザーの音楽を担当したニーノ・ロータとこの企画の相性の良さも大きい理由だ、という。たしかに、フェリーニの全作品やヴィスコンティの山猫などの音楽を担当したことでも知られる彼が、オーケストラと映画の融合を提示する今回のような映画と極めて相性がいいのは間違いないだろう。

新しいエンターテインメントの形


このような芸術的、演出効果的な相性の良さに加えて、興行主としての狙いとの相性の良さも背景にはあるようだ。
この裏事情とも呼びうる背景を教えてくれたのは、本企画のプロモート、チケット販売を担うディスクガレージの小柳氏。

「これから高齢化社会が進行していく中で、お年を召した方にも楽しんでいただけるような、新たなエンターテイメントの形を模索していました。ゴッドファーザーというのは、今の60代くらいの方からはやはり絶大な支持を集めている映画で、ものすごく相性がいいと。」


最近ではネットでのチケット購入が大半を占めるが、今回の企画では、ネット慣れしていない層もターゲットに入れているということもあり、電話での受け付けも用意して丁寧な対応を心掛けているという。
ゴッドファーザーは1作目の公開が1972年、2作目が74年、3作目が90年。リアルタイムでゴッドファーザーを観た世代は、単純に換算して30代から70代くらいまで極めて幅広いのも特徴的である。

親子3代くらいに渡って観に来てくれたら、一番うれしいですね、と小柳さんは語る。

心に刺さるものを今後も仕掛けて行く


今回のゴッドファーザーライブがうまくいったら、今後はどういう風に展開していく予定なのだろう。

「いやあ、具体的なことはさすがに言えないですね。」と笑い交じりに口を開いたのは飯島プロデューサー。

「でもこれが上手くいったからといって、何でもかんでもやろうとは思っていません。心に刺さるものだけをしっかり選んで、自分の目で確かめてやっていきたいと思っています。」

絶対無二の体験が作る、上質なエンターテインメント


今回のような「生演奏+映画上映」形態は、最近のIMAXや4DXのような「体験する映画」の流行の流れを汲んだものであると同時に、「生演奏」という一回性の体験を盛り込んだ、一度観たらもう2度と同じものを観ることができない、という緊張感を兼ね備えたものになっている。

映画という複製可能で何度でも観ることができるはずのもの(最近ではネットでも簡単に観られる)が、オーケストラの生演奏という一回性の芸術と組み合わさることで、単なるエンターテインメントを超えた体験として我々に迫ってくるというのは非常に興味深いことだ。ゴッドファーザーライブが成功し、様々なかたちで、様々な映画でシネマコンサートが行われ、映画の上質な楽しみ方としてムーブメントになるか。引き続きシネマコンサートの動向を追っていきたいと思う。


『The Godfather Live 2015』公演概要

・日時:2015年10月3日(土)
    昼公演 12:00開場/13:00開演
    夜公演 17:30開場/18:30開演

・会場:東京国際フォーラム ホールA

・料金(税込):S席:9800円 A席:8800円 B席:7800円
        *未就学児入場不可

・問い合わせ:ディスクガレージ 050-5533-0888 (平日12:00-19:00)

・公式サイト:http://www.promax.co.jp/godfatherlive/

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編集部 三宅隆平

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