カテゴリ: 大人の嗜みガイド

ミニシアター達の反撃

2015年3月28日。シネフィルたちを歓喜させる朗報が届いた。
そう、恵比寿ガーデンシネマの復活である。
2011年に惜しまれながら閉館したミニシアターの雄、恵比寿ガーデンシネマがファンからの熱い声援を受けて四年ぶりに復活したのである。

シネコンが飽和状態に陥る中で続々と復調の兆しを見せるミニシアター。
今回は都内の厳選ミニシアターから、ミニシアターが再び”きている”理由を探っていきたい。

恵比寿ガーデンシネマ -ラグジュアリーさを前面に押し出したミニシアター

かつて多くの作品をここで観て、それが青春のもろもろと結びついてしまっているがゆえに、どうしても公平なまなざしは持てないかもしれない。
やっぱり僕が一番好きなミニシアターはこの「YEBISU GARDEN CINEMA」なのだ。

2011年に館をたたんでしまうとの報を聞いたときは悲しかったものだが、時代の移ろいとは奇妙なものでわずか四年で「YEBISU GARDEN CINEMA」が復活したのである。

ちなみに以前の名前は「恵比寿ガーデンシネマ」。横文字になっただけで変わっていない。

恵比寿という立地にも恵まれている。街のおしゃれさったらないし(恵比寿という漢字の並び自体がなんとなく優雅だ)、渋谷や新宿とは違った落ち着きもまた心地よい。
暖かみと豪奢さの併存する内装、すこしだけ大人向けの上映プログラムは、背伸びしたがりだった僕の心をとらえて離さなかった。

この記事で四年前の「恵比寿ガーデンシネマ」について語っても意味はあるまい。
とはいえ、リニューアルオープンしたYEBISU GARDEN CINEMAも恵比寿ガーデンシネマ時代の暖かみと豪奢で大人向けの雰囲気はそのままだ。

ドリンクやフードに力を入れているのも特徴。なんとアルコール類が提供されるほか、すぐ近くにある超高級星付きフレンチ、ジョエルロブションとのコラボメニューもあるという。

もちろん映画のチョイスも相変わらずセンスに溢れている。アクセトリーの読者にはぴったりの映画ばかりだ。

シネマカリテ -新宿武蔵野館の別館

ミニシアターだからこそできる、斬新で臨機応変な企画を次々に実現・成功させているのがこのシネマカリテだ。

新宿でもっとも有名なミニシアターである新宿武蔵野館の別館。
もともと美術館に併設されていたミニシアターだけあって、アート系の映画にかなり力を入れている一方でB級臭い映画(これがなかなかおもしろかったりもする)も結構上映していて、そのごちゃまぜ感がシネマカリテらしさを生み出している。

シネマカリテの企画の中で特に僕が注目しているのは「オトカリテ」という企画で、これは日本で未公開になってしまっている名作映画を、レイトショーで上映するというもの。
500円という牛丼並みの価格で観られるだけでも十分な位だが、ここに意外といい映画があるのだ。
とくに海外のコメディは外れない。全米一位に輝いたようなコメディ映画でも、なぜか日本では公開されないことが多い。そうした映画を、シネマカリテが「オトカリテ」で拾い上げてくれるので、こちらとしては非常にありがたい。

また2014年からおこなっている「カリコレ」も見逃せない試みだろう。
2016年の開催も無事決定した、シネマカリテ独自の映画祭であるこの「カリコレ」では、日本で未公開の作品や、これから公開される予定の作品などを公開している。

渋谷アップリンク 

ミニシアターの中でもトップクラスに小さくて、でもトップクラスに個性的なのがこちらの「アップリンク」だ。
渋谷駅から少し離れたところにあるこの映画館、もともとは配給会社であったのが、いまや多様な若者サブカルチャーの共存する「場」になっている。
寺田修二の主催する天井桟敷にも在籍していた浅井隆氏が率いるアップリンクは1987年の創設以来常に日本のサブカルチャー、カウンターカルチャーの最前線をきりひらいてきた。

その特徴はなんといってもごった煮感だ。一応ミニシアターということでここではくくっているけど、映画も上映すれば、落語のライブもやるし、バンドライブも行う、カフェもやるし本だって出版する、といった多様性の主張がある。
より原初的、コアでアングラな「サブカル精神」がそこにはあるのだなあ、といつも思う。

いつ来てもなにかしら面白い企画をやっていて、渋谷っぽい、宇田川町っぽい雰囲気を堪能できる、そんなミニシアターだ。

シネマライズ -渋谷カルチャーを凝縮したミニシアターの最高峰

渋谷は数多くの個性的なミニシアターが集っていることで有名であるが、中でもこのシネマライズは日本のミニシアター史に名を残す名館だ。
象徴的ともいえるそのルックスだけではない。アメリやトレインスポッティングのようなこじゃれていて話題性の高い映画を数多く紹介し、ミニシアター全盛期の時代を築いた。

映画のチョイスも絶妙で、商業性とアート性のはざまにある作品をかけていることが多い。
普段アート系の映画をみている人にとってはメジャーな、逆にそうではない人にとっては少しマイナーな、でもそのどっちつかずさが間口の広さ、とっつきやすさを与えてくれるのだ。

最近の例でいうとオスカーを獲得した「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」やペドロ・アルモドバルの新作「人生スイッチ」等、マイナーな中の有名どころ(多くの場合それはアメリカ以外の国の映画である)を上映して固定ファンを獲得している。

立川シネシティ

たぶん今一番熱いんじゃないか、と僕が勝手に思っているのがこの「立川シネマシティ」だ。
実はここ、ミニシアターではないらしい。それどころか都内でもっとも歴史のあるシネコンなのだという。

全部で11個のスクリーンがあって、それだけ聞くとたしかにシネコンの規模なのだけど、でも一方で作品のチョイスや、新奇で突飛な企画などに、ミニシアターっぽさが溢れている。

ラインナップにもその面白さはあらわれていて、ジュラシックワールドやマッドマックスのような通常のミニシアターでは絶対にかけないような映画から、ミニシアターでもなかなかかけているのをみないようなマイナーな映画まで、幅広く上映している。

とにかくもうここはやっていることが面白い。
例えば最近では「マッドマックス」の爆音上映をするためにウン百万のサブウーファーを買っただとか(実際に観に行ったけれども、体が震えるほどの爆音だった)、映画「けいおん!」の上映時にはサイリウムを配ってスタンディングでライブっぽくしたりだとか、いわゆる文芸系のミニシアターにも大型のシネコンにできないことをやってのける。

そうした面白い試みができるようになった背景には間違いなくSNSの普及があると僕は考えている。
小さい映画館というのは当然大きなところに比べると金がないから、どうしても広告を派手に打つようなことはできなかった。でもツイッターが当たり前になったことで、斬新な企画なら、うまくすればガツンと認知を獲得できるようになったのだ。
実際「マッドマックス」の爆音上映もツイッターで拡散されたことで爆発的な人気を得ることができたのだ。
今や数多くの映画の聖地扱いされていて、県外からはるばる立川までくる人も珍しくないのだという。

劇場の貸切を15000円~でできるというのもすごい。上映中の作品はもちろん、過去の作品も自由にかけられるというから、見逃してしまった作品をスクリーンで観るなんてこともできるのである。

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編集部 三宅隆平

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