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Dismaland(ディズマランド)

"Dismaland"をご存じだろうか。Dismal(陰鬱な)という言葉が使われた、”Bemusement(混乱) Park”だ。
解説の前に、まずこの動画を見ていただきたい。



歪んだアリエル像や、墜落したシンデレラの馬車を撮るパパラッチの群れ。
列に並べば、ミッキーのような耳を着けた従業員が「こんなことしてる暇があるならほかのことすれば?」と冷たく対応する。

ユーモアがきいていて面白いとも言えるし、悪趣味な悪ふざけとも取れる。
名前を含めてDinsey社のパロディも多く、ファンからは間違いなく怒られる出来栄えだろう。
(個人的には「ディズニー社の法定代理人の入場お断り」の文面で一笑いしたのだが)


これは「覆面芸術家」「芸術テロリスト」との異名を持つ、バンクシーの仕業だ。

謎の芸術家 バンクシー

バンクシーは、自分の素性を全く公開しておらず、分かっているのは作品と、イギリスブリストル出身ということのみ。
名前はメディアに公開されているようだが・・・。
彼は自分の作品を「勝手に」大英博物館やMOMAといった有名美術館に展示(しばらく気づかれずに展示され続けた)など、ゲリラ的に自らの作品を公開する芸術家。
その手法から、「芸術テロリスト」と呼ばれたりもする。
その作品は、政治性が強く、痛烈に社会を批判するものが多い。
王族をサルにたとえてみたり、鳥が移民反対しているものだったり。

もともとあった標識を生かして、こんな作品を作ったりしている。

The street is in play Manhattan 2013 #banksyny

Banksyさん(@banksyny)が投稿した写真 -




こういった作品が人気を博し、世界中で有名なアーティストとなっている。
今や日本でもほとんどの人が彼の作品を知っているだろう。

商業的作品を作ることはほぼなく、専らストリートで、壁などに作品を勝手に描いていく。
基本的に「所有」に対して疑問を投げかけているので、複製されることも多く、現在世界で最も模倣されるアーティスト、とも言われている。

また、紛争の続くシリアに行き、ショートムービーを作ったり、


イスラエルのガザ地区で塀や壊れた建物に絵をかいたりもしている。

強烈なメッセージ性とユーモアで、一瞬で見る人にインパクトを与えるアーティストだ。

アートの価値とは

大量複製時代、アートとはどんな意味を持つのだろう。バンクシーはステンシルを用いた作品を作っている。ステンシルは複製がかなり簡単な部類のアートだ。
バンクシーが行った一つの実験がある。




彼はニューヨークの路上でゲリラマーケットを行ったのだ。もちろん、売っている人は別人。
バンクシーの作品だとは知らせずに、60ドル均一で路上で販売したのだ。
バンクシーの作品は、かなりの高値がつくはず。60ドルは考えられない破格だ。

さて、マーケットの結果。7枚売れて420ドル稼ぐことができたようだ。
たった7枚、である。
本来であれば軽く数万ドルはするような彼の作品が60ドルで売られているのに、買われたのは7枚。
「やっぱり作品じゃなくて評価しか見てないじゃないか!」なんて声が聞こえてくるようだ。

もちろん筆者がその場に居合わせたとしても、本物だとは思わずに歩き去っただろう。

バンクシーはインタビューの中で、美術品の所有や、自分の作品に不当に高い価値が付くことに関して疑問を投げかけている。

果たしてこの実験結果は、彼を失望させるものだったのか、喜ばせるものだったのか。


芸術ってなんなんだろう



South Bronx

Banksyさん(@banksyny)が投稿した写真 -



結局、芸術っていうのはなんなんだろうか。バンクシーはそういった疑問を投げかけているように思える。
グラフィティアートだって、落書きなのかアートなのか、その両方なのか、まったくわからない。
そもそもグラフィティは落書きという意味だ。

バンクシー等、名声があるものは売れ、そうでないものは全く見向きもされない。
それどころか、器物損壊で訴えられかねない。

バンクシーが絵を描くことによって建物の価値が上がるから、彼の絵は法律的に規制されない、そんな言説さえあるくらいだ。
芸術において、「評価」や「金銭的価値」が持つ意味の大きさを考えずにはいられない。


そもそもグラフィティを含め、コンテンポラリーアートは「芸術とはなんだろう」という問いを孕むものだ。
最近は複製を作ることがさらに簡単になり、ますます何がなんなのかわからなくなっている。


(グラフィティアートについては、先日の記事「グラフィティアートとは何かーThe World Wide Graffiti Art Exhibition In DAIBA展を機に考えてみるー」もご参考頂けると幸いである。)

バンクシーの政治的な主張や、作品の良しあしを測るのは不可能だろう。

しかし、イスラエルのガザ地区の壁に書かれたこの作品など、見た人の心を動かすものがあるのは確かだ。

単なる落書きなのか、アートなのか。それを決めるのは誰なのかすらわからないけれど、
今後の彼の動向にも目が離せない。

余談だが、バンクシーが監督をした" Exit Through The Gift Shop"という映画がある。
そのインタビューが公式サイトに載っていて、彼の考えを少しだけのぞくことができるので、読んでみることをオススメする。

また、Dismalandは2015年の8月22日から、2015年9月27日まで、イギリスのウェストンで期間限定でオープンしている。イギリスに行く機会がある方は、ぜひ訪れてみてほしい。
本家DisneylandにDismalandが盛大に訴えられたりしないことを祈っている次第である。

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編集部 y.hatakeyama

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