スコッチウイスキーの入門 第二回:シングルモルトについて知る。編

スコッチを語る時に欠かせない、シングルモルトの存在。 普段からスコッチを飲んでいなくては理解の出来ないカタカナの羅列に、 シングルモルトとはなんだろう。専門用語ばかりでとっつきにくい。 と考える人もいるかもしれない。 スコッチウイスキー入門の第二回は、そんな敷居を少しでも下げるためのお勉強会。 おすすめのシングルモルトも共にご紹介しよう。

シングルモルト?

スコッチウイスキーが気になっているあなたへ。
今回取り上げるのはシングルモルトとは何か、そして、それをどう飲むかの記事である。前回の記事でも軽く触れたが、シングルモルトとは一つの蒸留所のみで作られる、モルト(大麦麦芽)だけで作られたウイスキーのことを意味する。

スコットランドの蒸留所の数は100を超えていて、実に多種多様なウイスキーの味わいが作られているが、実際に市場に出回りやすいシングルモルトは限られてくる。
何故ならその多くはブレンデッドのウイスキーに混ぜるためであったり、すでに閉鎖されてしまったりと様々な理由でその蒸留所単品で瓶詰めされて出荷されることは少ないからだ。(例外はあるけれど)

そんなスコッチのシングルモルト。
実は一つの蒸留所で作られているとは言っても、お酒を蒸留して瓶詰めをするまでにちゃっかり同じ蒸留所内のお酒同士で混ぜられている。
もっと言ってしまうなら、水で薄めたりもしている。
これはあまり触れられないけれど、初心者が知らない事実である。

混ぜたり薄めたりする訳は、ウイスキーの製造方法にある。
どんなウイスキーも必ず一定期間樽の中で熟成させるのだが、
その熟成の間に、樽の香りを含んだり、味の深みが増したりと色々な変性が起きる。
こればっかりは自然による作用なので、それを防いだり、ムラ無く均一にしたりすることはできない。同じ土地や気候で同じ年数熟成したとしても、樽ごとの香味に差が出てしまう。
味の異なりは微かであるものの、分かる方々には分かってしまう。そのため、蒸留所内の樽であっても、あえて混ぜることでばらつきを整え、安定した香味、度数を守っていくために均しているのだ。

そのため、シングルモルト=混ぜられていないウイスキーと捉えるのはやや間違っている。

番外編:シングルカスク/カスクストレングス

カスクとは樽のこと。
シングルカスクは一つの樽の中から出されたウイスキ-のことを指し、
カスクストレングスは薄めずそのまま瓶詰めされたウイスキーのことを指す。(アルコール度数はかなり高い)

味のブレによるブランド力の低下を恐れるため、基本的には蒸留所が出す例は稀であり、多くはボトラーズと呼ばれる瓶詰め業者たちが販売している。しかし近年では、オフィシャルの蒸留所がシングルカスクのボトルを数量限定で出すケースも見られるようになってきた。
このようなウイスキーは、ラベルにシングルカスク(single cask)、カスクストレングス(cask strength)などと書かれている。

この二つの要素は重なることもあり、
シングルカスクかつカスクストレングスであれば、一つの樽から出したそのままのウイスキーのことであり、
シングルカスクだがカスクストレングスでなければ、一つの樽から出した後、加水されているウイスキーのことである。

これらのシングルモルトは、一樽のウイスキーが特徴のある香味であると認められ販売に至るので、総じてその香味は深く、美しい。
ブレンデッドでは出すことの出来ない鋭角的な味わいがあり、出回る総数も少ないため、非常にレアな代物だ。
詳しくはまたの機会に。

どんな飲み方をすればよいか。

おススメの飲み方は、ストレートである。
蒸留所ごとにある癖をしっかりと見極めたいと思うのなら、是非ゆっくりと時間をかけて、何も加えない一杯のウイスキーに向き合ってもらいたい。

ウイスキー自体を飲み慣れていない方は、別記事にてレクチャーしよう。

これだけは知っておきたい、大人のためのウイスキー飲み方入門 – ACCETORY [アクセトリー]

地域ごとの味に特徴があるため、色んな名前のスコッチのシングルモルトに挑戦してみてほしい。
いくつか有名な蒸留所のものを挙げてみよう。

上品かつ入門に適したスペイサイドのモルト

グレンフィディック12年

青りんごや梨と例えられるフルーティで癖のない一品。飲みやすさの裏に、ひっそりと隠れているスモーキーフレーバー。これが人にまた飲みたいと思わせる隠し味だろう。つまみの要らないモルト。

グレンリベット12年

グレンフィディックよりもりんご感は強く、バニラ香もやや強くなるか。ピート香はほぼ感じられない。
そのくせ、フィディックよりも口当たりにちょっとした引っ掛かりがある。特別な癖は無いのだが、こちらの方がボディがやや重たく感じられる。フィディックと共にシングルモルト売上げの二大巨頭の蒸留所である。

クセが強いがハマると抜け出せないアイラ地方のモルト

スコッチを語る上で外すことの出来ないアイラモルト。
飲んでびっくりするとは思うが、一回は飲んでおいた方がいい。
一本買うのは勇気がいるので、バーで一杯、若しくはミニチュアボトルなどを探してみよう。
個人的にはロックかストレートで楽しむものであると考える。

ボウモア12年

スモーキーな香りと磯の香りを持ち、後からビターチョコと柑橘系のフレーバーが香ってくる。
味わいはシェリー樽らしく甘く、少しの塩味もある。
とにかくそのいぶしたような香りにびっくりする。

ラフロイグ10年

ヨードチンキに例えられる、癖の強い香りを持つモルト。
好きか嫌いかが一口で分かってしまうほどの個性。
その癖を下支えするバーボン樽特有のバニラっぽい甘さが重なりクセになる。

上記のモルトはきっと他のサイトでも取り上げられるくらい有名なのであまり詳しい説明はいらないだろう。(本当におススメ)
ありきたりなおススメを紹介したところでオリジナリティも無いので、ニッチなおススメを一本紹介しようと思う。

バーに行く前提でおススメの一本

ブルイックラディ10年or16年 (ノンエイジでも可)

頭で考えてウイスキーを飲むようになる前に本当に飲んでおいてほしい一本。

うんちくをつらつら語る前にしっかりと味わってほしい。しかもストレートで。個人的にではあるが、本当におススメなのである。
場所によっては、置いてない場合も往々にしてあるため、無くても当たり前、みたいな気持ちでバーで頼んでみよう。もし無かったとしても、バーテンダーが代わりのものを提案してくれるのでご安心を。

アイラなのにノンピート。
これは本来変化球の味わいなのだが、そんなことは分からなくても、美味しいお酒である。

色んなアイラを飲んで、アイラ独特のクセが分かり始めたあと、
それらと全く性質の異なるこのラディを味わってみてほしい。この酒の魅力に、再び惚れこむことだろう。
誰か、このお酒からスコッチを始めてはくれないだろうか……。

熟したバナナやアンズ、バニラ香が香り、
甘くドライな味わいで決して軽すぎない舌触り。後から麦らしさが立ち上る。
オーク樽と、ピートでたきしめない素直なアイラモルトのフルーツ感のマッチが絶妙。
アイラの個性的なクセと呼ばれるものの中に、熟したフルーツが存在していることが分かる。
ノンエイジ(年数表記が無い)のものであればブルイックラディ・クラシックラディというものをおススメする。多少グレードが下がるが手に入りやすく、ラディらしさを感じることの出来る一品だ。

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