まだ「魚には白ワイン」なんて信じてる? -実は相性の悪い「魚介×ワイン」、その6つの対処法

前回の記事で野放図に魚と白ワインをあわせることへの危険性を紹介した。引き続いて今回の記事では、相性の悪い魚介とワインを合わせるコツを説明したい。

ワイン中に含まれる鉄イオン(Fe2+)が、魚介類のうちに含まれている過酸化脂質と反応し、カルボニル化合物となることで「生臭さ」を発生させるということを前回確認した。
つまるところ、魚とワインを合わせたときの生臭さを回避したいなら、このカルボニル化合物を排除、ないし減少させ、知覚できないようにすればいいわけだ。

今回の記事ではこの厄介な「カルボナル化合物」をどうにかする六つの対処法をご紹介したい。

対処法1.甲州ワインを選ぶ

日本を代表するぶどう品種である「甲州」のワイン、実はかの美味しんぼで「海の幸、それも生魚と合わせて楽しめる世界でただ一つのワインである」と紹介されているほど、魚介類との相性がいい。
どうも甲州種を使用した日本のワインは、鉄イオン含有量が西洋のそれと比較して少ないのだという。

理由についてはまだわかっていない。
仮説としては
・土壌に含まれている鉄イオン量がすくないから
・地面から離れた棚の上で栽培されているため、土中の鉄が葡萄に付着しないから
等様々あるようだ。

また、この甲州ワインは以下に示す対処法2、対処法5からみても魚介と実に相性がいい。

対処法2.シュール・リー製法のワインを選ぶ

シュール・リー製法というワインの製法に聞き覚えはないだろうか? ちょっとマニアックな話になってしまうかもしれない。
SUR LIE、日本語に直すと「澱の上」。
通常ワインは発行途中で出る「澱(酵母の死骸等の不純物)」を取り除きなら熟成、発酵を進めさせていくものだ。
ところがシュール・リー製法の場合は、澱を取り除かずにそのまま寝かせることで、特有の香り、うまみを生ぜしめる。
有名どころだとフランスのミュスカデという品種がこの製法で作られるが、日本の甲州ワインもしばしばこの製法を用いてふくよかさ、豊満でまろやかなボディ感をワインに付加している。

そしてこの酵母の死骸は、ワイン中の鉄をまきこみながら「澱」として沈殿していくので、ワイン中の鉄分が減少する傾向にあるのだという。

対処法3.シェリーやマディラなどの酒精強化ワインを選ぶ

酒精強化ワインというものがある。発酵途中のワインにブランデーを加え、特殊な発酵をさせるもので、主にスペインやポルトガル、イタリアなど地中海沿岸で作られているワイン。シェリーやマディラ、ポートが三大酒精強化ワインと呼ばれている。
酒精強化ワインは、あえて酸化させることで長期熟成に耐えられるようにしているもの(酸化熟成)も多い。
そしてそうした酸化熟成型ワインは、ワイン中の鉄イオンがFe2+からFe3+に変化しているため、魚介の持つ過酸化脂質と反応することがないのである。

対処法4.オリーブオイルなどの油をかける

匂いや香りの元となる物質は、オリーブオイルをはじめとする油脂類に非常に溶けやすいという特徴を持っている。
ワインと合わせたときの魚介の生臭みを、オイルの中に溶け込むことで感じなくなる……ワインの本家であるヨーロッパで、例えばアヒージョであったり、オイル漬けであったり、あるいはソースであったり、オイルが大量使用されているのも、ヨーロッパ人たちが長い歴史の中でそれを学んでいったからなのだろう。

またかの有名な落合シェフの考案による鮮魚のカルパッチョ(本国イタリアでは魚のカルパッチョは存在しない)も、オリーブオイルによるマスキングを施したものである。

対処法5.レモンや梅干し、クエン酸によるキレート効果を狙う

レモンや梅干しなどに豊富に含まれていることで知られるクエン酸、しばしば疲労回復に効果があるとみなされているが、このクエン酸は鉄を包み込む効果も持っているのだという。
例えば生ガキにレモンを絞って食べるのも、この効果を狙ったものではあるまいか。
例えば意外なところでは、梅干しと白ワインの相性はなかなかいい。特に酸味の強い白ワインと梅干しは、酸味が相互に打ち消しあって、驚くほどのフルーティさを見せることがある。

対処法6.白ワインを使った料理にする

ある意味逆転の発想ともいえるのがこれ。白ワインで蒸すなり、煮込むなりしてしまうことで、あらかじめ過酸化脂質と鉄を反応、飛ばしてしまうというやり方である。
たとえばイタリアンのアクアパッツァであったり、ブイヤベースであったりといった料理はこれを反映しているのだろう。

まとめると……

六つの対処法をシンプルにまとめてみると

1.甲州種
2.シュールリー製法ワイン
3.マディラワイン
4.オイルをかける
5.レモンをかける
6.白ワインで調理してみる
となる。

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