前回のあらすじ

少年まで…<ウイスキーお洒落やん
成人して…<バーボンうめぇ

出会ってしまったラフロイグ・ボウモアというアイラ島の問題児

アルバイト先の店長に勧められるままに、最初に飲んだスコッチはラフロイグの10年。
「美味いウイスキーがあるよ」という言葉を鵜呑みにして、何も知らずにロックで頼んでしまった。
スコッチ好きで、飲んだことある人たちは分かると思うが、
「ヨードチンキ入りですかコレ……。」と言わんばかりの臭い。尚且つスモーキー。
火事になった保健室からはこんな香りがするのだろう。
そんなことを思いながら飲み、最初こそ店長に苦い顔をして不満を述べていたはずなのに、一杯飲む頃にはファンになってしまっていた。

これがスコッチの、いやアイラモルトの恐ろしいところで、
好きになる奴は好きだし、嫌いになる奴は嫌いっていう一クセも二クセもあるお酒なのだった。
そこからというもの、恋に振り回される女子高生のように「バーボン大好き!!」から「アイラヴスモーキー!!」と手のひら返しをした。
お次に出会ったのはボウモアの12年。
その当時、牡蠣屋さんで毎分10個の牡蠣を剥いていた筆者は、
牡蠣に合うモルトと聞いて飛びついた。
結果は普通に食った方がうめぇ。至極当たり前の結果だった。
贅沢に生牡蠣にボウモアを垂らしてみたりしたが、このモルトご自慢の磯の香りは、
牡蠣の塩っけによってどっかへ行ってしまうのだ。
それ以来、アンチ牡蠣×ボウモア派を謳っている。

そんなこんなで、スコッチのシングルモルトへとたどり着いた。
(最初に上陸したのはアイラとかいう魔窟だったのだが…)

シングルモルトにドップリ浸かった、マッカラン、バルヴェニー、ブルイックイラデ

シングルモルトの旅は続く。
飲めども飲めども現れる新たな蒸留所の名前。
忘れそうだったので律儀にメモを残して味を書き記すようになった。
色んな本を読んで、どんなスコッチがあるか、そしてそれらがどんな味であるか、思いを馳せた。

シングルモルトのロールスロイスと噂を聞き、またもミーハーに飛びついたマッカラン12年。山崎10年の時に感じた甘みと似ていて感動した。
シェリー樽熟成のうまさをそこで再認識。
グイグイとウイスキーに対する味の領域は拡がっていく。
いつしかシングルモルトと言えば、ストレートでしょ!と小生意気なことを言い始めるようになった。

その中で、ぶどうのようにフルーティなマッカランと対極に来る甘みとして、蜂蜜のような甘み、コクを持ったバルヴェニー15年と出会う頃には、もうスコッチのシングルモルトの底なし沼に嵌まってしまっていた。
何よりも華やかで甘みのあるバルヴェニーは、後味がどこかツンとくるスパイシーさを持ち、
アイラモルトをぼんやりと想起させた。(甘さの中にあった一癖と個性的なアイラモルトがかすかにリンクしたのだろう。)
そんな、甘々しいスコッチの面々を飲みゆくうちに、ブルイックラディ 10年に出会ってしまった。
バルヴェニーを彷彿とさせるハチミツの香りと味わい、そこにバーボンのようなバニラ香が重なり……、最後の麦の後味はライウイスキーのようだけれど決して若い苦みは感じない。
そして何を隠そう、このブルイックラディは、アイラモルトに属しているというではないか。

知識先行になっていた自分を恥じた。アイラはピートが利いていてスモーキーで……、だなんていう固定観念を真っ向から否定する存在だった。
このブルイックラディによって、知識に凝り固まったウイスキーの世界感が崩れ、
次なる道が開けた瞬間でもあった。

スコッチのブレンデッドに行き着いたのは割と遅い。

ここに来て、スコッチのブレンデッドに足を踏み入れていった。
シングルモルトラバーズだった時の印象は「混ぜ物め」と言ったところで興味の素振りも見せなかったが、
先のブルイックラディによってその先入観が崩れ、飲み始めるようになる。
こいつらがまた深い。
キーモルトになっているシングルモルトたちの個性が入れ代わり立ち代わり顔を見せ、舌を鼻を楽しませる。
むしろシングルモルトの大雑把な味の傾向を理解した後のブレンデッドは、楽しい。
飲むたびに色んな発見がある。純粋に飲んでいて面白いし楽しいのだ。言葉なんか要らない。
ジョニ青のジワーって染み出してくる美味しさの奔流に身を任せるのなんて悦楽に値するし、
手に入りにくいが、キャンベルタウンロッホ21年なども今までソロの楽器ばかりのクラシックを聞いていたところからいきなりオーケストラの演奏が始まるくらいの驚きが待っている。
液体に詰まっている情報量がケタ違いだとも言えるだろう。

美味しいブレンデッドスコッチは、シングルモルトを色々浮気して、それから飲むのが本当に楽しいのだ。

五大ウイスキーを飲んでみて、気分で変わる、その夜の相棒

ボトラーズが出している、ほぼ一期一会のようなシングルモルトを飲んで楽しんだり、ブレンデッドのキーモルトの原酒を訪ねたりと、しばらく(というより今も)スコッチに首ったけである。
そうして色んなバーで飲み歩くうちに、あまりメジャーでないアイリッシュやカナディアンにも挑戦するようになる。
シェリー樽のものが多く、後味の麦っぽさが良い。ブラックブッシュやタラモアデュー12年などが好みの感じだ。(あの麦っぽさがツボなのである。)
カナディアンは、アメリカンの弟…?みたいな印象。シーグラムVOを飲んだが、あまりその独特の個性を理解してあげられていない。

さて、色々省いたつもりだったが、ここまで重たい記事になってしまった。
正直何かの益になった訳ではないだろう。
人にはそれぞれ、自分だけの出会いがある。
ウイスキーとの出会いだって画一化されてはならないと思うし、もっと多様であるべきだと思う。
とりあえず一本、欲しいなと直感したボトルを手に取り、すそ野を広げていけば、本当にウイスキーが大好きになると思う。
【初心者 オススメ】に惑わされて欲しくない。そんな気持ちで書いた。
ぶっちゃけグレンフィディック最初に飲んでも、きっと楽しくいないよ、うん。
個人的には角瓶みたいな若いウイスキーをしっかり飲んで、楽しんでもらいたい。
この記事はネットメディアの隅っこで、コピペまとめ記事に立ち向かわんとする、ちょっとしたアンチテーゼだ。そんな思いが少しでも伝わったなら幸いである。

長々と綴ってしまったこの雑談も、終わりの時間が来た。
機会があればここまで読んでくれた酔狂なウイスキー好きの諸君の話を聞いてみたいものだ。
愛するラディを傍らに置きながら筆を置く。

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編集部 岡田悠吾

ウイスキーが深まる季節がきました。

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