クラフトビールをもっと身近に。高円寺麦酒工房の目指すもの。

クラフトビールが話題になっている2015年。 今回取材地である高円寺もまた、クラフトビールの熱で賑わっている。 今回ACCETORY編集部は、駅からほど近い、閑静な住宅街にひっそりと佇む高円寺麦酒工房へと足を運んだ。 ブームを先駆けてブルワリーを立ち上げた、社長能村氏の熱い思いをクローズアップする。

クラフトビールは日常的なものだろうか。残念ながら多くの人にとって、答えはNoだろう。
2015年、クラフトビールは大きく知名度を上げた。
しかし、まだまだビールが好きで流行に敏感な人だけが、特別な時に楽しむ文化だ。
クラフトビールは美味しい。特に作りたては最高だ。
だから、もっと日常的にしたい。少しでもビールファンを増やしたい。
そう努めるのが、高円寺麦酒工房。
今回はそんな高円寺麦酒工房の創業者、株式会社麦酒企画社長の能村さんにお話を伺った。

ビールを一番いい状態で飲んでもらいたいという思いが、高円寺麦酒工房を作った

能村さんは高円麦酒工房を2010年にオープン。
今でこそメディアで取り上げられるが、当時日本にブルーパブといった形式のお店は今ほどなかった。
そんな中なぜ、ブルーパブを選んだのか。
「そもそも僕がビールと旅が好きで、地ビールみたいなものを良く飲みに行っていたというのが原体験としてあります」と能村さん。
「その中で、瓶詰と生ビールの味の違いみたいなものが気になるようになった。ビールはどうしても鮮度が落ちやすい飲み物。究極、一番おいしい状態のビールを飲むには、作ったその場で飲むしかないなということに気づいたんです。」とのこと。
おいしいビールを最高の状態で飲んでもらいたい。
その思いが、最高の状態でビールを提供できるブルーパブという形態で高円寺麦酒工房をオープンさせたのだ。

ビールを入れてくれたのは店長の尾形さん。

目標は、「街のパン屋」

能村さんが掲げる麦酒工房の目標に、「街のパン屋さんみたいなビール屋になりたい」というものがある。
パン屋でパンを買うというのはごく日常的な行為だ。別に特別なことがなくてもパンを買って自由に、気軽に消費する。ところが、これがクラフトビールとなるとそうはいかない。
まだまだ「特別」感があり、それを売りにしているところさえある。

もう一つ。コンビニで売っている山崎パンと、街のパン屋は異なる。山崎パンは長持ちするしどこでも手に入るが、焼きたてのパンに比べると味は落ちる。
どちらがいいというわけではない。全くの別物だ。
大手メーカーが作り、どこでも購入できる安定した味の缶ビールと、お客さんに足を運んでもらってその時々の最高の味を提供するブルーパブ。
ビールもそういった多様性があるべきだという提案が含まれているのだ。

定着して、続いていくものにしたい

そんな「日常」を目指す高円寺麦酒工房。昨今のクラフトビールブームについてどう思うか能村さんに尋ねると、「ブームはあまり気にしないようにしています。もちろん話題になって間口が広がるのはありがたいけど、定着していかないと意味がない。」と答えてくれた。
「たとえばパンにもブームってあったと思うんです。明治なり戦後なりに。だけどブームの後も、しっかりと定着した。イタリアンなんかもそうです。高円寺麦酒工房もそういった存在として続けていけたらいいと思っています。」と能村さん。
もっとも、「仕事が終わるとただのビールファンになるから、コンビニでもクラフトビールが買える今のブームには感謝して感動していますけどね。」と能村さんは笑いながら嬉しそうに話してくれた。

できるだけハードルは低く


高円寺麦酒工房「クリーム」。中ジョッキに7:3で入ったいわゆる普通のビールな見た目だが・・・

街の人にとって、当たり前のような存在になりたい。
その思いが根底にあるから、ハードルは極力低く設定する。
たとえば、普通のブルーパブだと各種類のビールに専用のグラスがあったりする。グラスによって香りの出方が変わるし、見た目もカッコいい。
しかし、それと同時に、なんだかビールが小難しいものに変わってしまう。
能村さん曰く「なにかコメントを言わなきゃいけない」気持ちになってしまうのだ。
日本人のビールのパブリックイメージは、中ジョッキに7:3で注がれたもの。
「ビールください」と言って期待するものは、中ジョッキなのだ。
だから高円寺麦酒工房は、中ジョッキにグラスを統一している。
また、値段もできる限り低く設定する。お店で定番の「ブロンド」というビールは、380円(税抜き)。普通の居酒屋と変わらない値段で提供している。
また、名前も小難しいものにせず、単純に色の名前や作り方だけで決める。
「ビールを好きになってもらいたい。『なんか難しいな』と敬遠してほしくないから、できるだけ簡単でわかりやすいものを、値段を抑えて提供しています。」と能村さんは語る。
ブルーパブとしてのブランディングをするのではなく、あくまで自然に使ってもらえるお店を目指す。
そのための細かい配慮を欠かさないことが高円寺麦酒工房の人気を支えているのだ。

もちろんビールは最高のものを!

高円寺麦酒工房の定番ビール「ブロンド」

そんな高円寺麦酒工房こだわりのビールを飲んでみた。今回飲んだのは、お店で定番となっている「ブロンド」と「クリーム」の二種類。
実はこのビール、一般的には1種類で通年使うことが多い酵母を、春秋・夏・冬と季節によって3つ使い分けるほどのこだわりよう。
ブロンドはごくごく飲めるエールタイプ。しっかりホップの香りがするが、飲みやすい。クリームは、グレープフルーツのような香りがする爽やかなもの。こちらはビールが苦手な人でも好きになるんじゃないか、という味。特に女性というのも納得だ。
どちらも最高に美味しい。能村さんは「人によって合う合わないがあるから」と言うが、編集部2名は2人とも大満足だった。
ビールは常時5種類ほどを準備(今回のように多い時も!)、フードメニューも充実している。

お持ち帰りも!

また、ビールはなんと持ち帰ることができる。飲めない日や、家で飲みたい日、そもそも営業時間内に来るのが難しい場合など、「マイ樽」に入れて持ち帰ることができる。もちろんお店で出してすぐ飲むものに味は劣るが、家で美味しいビールを飲みたいという方にぴったりだ。かなりありがたいアイデア。これも「気軽にビールを楽しんでもらいたい」からこそだ。

終わりに

2015年、ちょっと特別でおしゃれなものとしてクラフトビールは大きく流行している。
しかし、その先があるのだ。
クラフトビールが日常的なものとなり、普通に、気軽に飲まれるようになる未来。
ブームの一歩先を見据えて、「日常」を目指す、高円寺の街に愛されるブルーパブ、高円寺麦酒工房。
高円寺に立ち寄る際は是非訪れて見て欲しい。

今回取材に協力していただいたお店はこちら

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