クラフトビールをもっとおいしく飲むための、グラスの選び方。

ビールの楽しみ方の一つに、グラス選びを楽しむというものがある。今回はそんなビアグラスの選び方を、ビールの本場ドイツに本社を置くグラスメーカー、ツヴィーゼル・ジャパンさんに教えていただいた。

ワインの楽しみ方の一つは、グラス選びだ。
ワイングラスをコレクションする人は多く、銘柄や産地にあわせて使うグラスにこだわる人もいる。
なぜか。グラスによって味が変わるからである。もちろん、中身が変わるわけではない。
しかし、お酒を飲むのに影響しているのは味覚だけではないのだ。
嗅覚や触覚によっても味はずいぶん変わってしまう。

たとえば、湯呑でお茶を飲むことを想像してみてほしい。
慣れ親しんだ湯呑がもしグラスだったら、味わいがかなり変わることは想像できるはずだ。
お茶をワイングラスで飲みたいとは思わないし、湯のみでワインを飲むのも絶対に嫌だ。

さて、 ワインにグラスを選ぶ楽しみがあるように、ビールだって、色々なグラスが存在する。
特に様々なスタイルが存在するクラフトビールだったらなおのこと。
クラフトビール専門店に行ったことがある方なら、ビールごとに異なるグラスで出てくる体験をした人もいるかもしれない。あれは、ビールにベストなグラスを選んでいるのだ。

今回はビールの本場、ドイツに本社を置くグラスメーカー、ツヴィーゼル・ジャパン様のご協力のもと、ビアグラスの選び方をご紹介したい。
なお、ビールのスタイルに関しては、こちらも合わせてどうぞ。

ビールをおいしく飲むためのグラスの条件

好みは人それぞれだが、グラスの選び方の基本はこれだとあえて言い切るならば、
以下の5つがポイントになる。

①グラスの厚さ
飲み口の厚さは、大きく味を左右する。
最近流行の飲み口が薄いグラスは、飲みやすい印象になる。グラスによる抵抗がほとんどなく、口の中にビールが入ってくるからだ。
また、飲み口が薄いと、ビールが舌の先の甘みや酸味を感じる部分に当たりやすい。(苦味は舌の根元で感じるため。)
複雑な味わいを楽しみたい時には、薄いグラスのほうが良い。
というか、言葉を濁さずに言えば、薄いグラスの方が美味しさを感じやすい。

逆に厚いものは、味よりものどごしを重視するビールの時に。
ちなみに飲み口が厚いグラスの代表、ビールジョッキは、適切な温度(1℃前後)であれば、かなりの保冷能力を持っている。飲み口が薄いものの方が美味しいと書いてしまったが、大人数の飲み会で乾杯まで時間がかかる時や、のどごしを重視してごくごく飲みたいときには、ジョッキはジョッキで有能なのだ。
(なお、冷えていないジョッキは最悪。ビールの冷たさを奪ってしまう。)

また、ボディの厚さは、手の温度がビールに伝わるかどうかにかかわってくる。グラスが厚ければ厚いほど手の温度がビールに伝わりづらい。

薄い、厚いで一長一短あると言える。



飲み口の薄いパイントグラスと、厚いビアジョッキ

②飲み口は広いか狭いか
飲み口の広さは、ビールが空気に触れる表面積と一緒だ。つまり、飲み口の狭いものは、それだけビールの劣化が進みにくい。
また、ヴァイツェングラスのような、飲み口のみ広がっている形のものは、香りを広げてくれる効果もある。

③ボディの形状
グラスのボディの太さは、泡持ちを左右する。一般的には、ボディが細いと泡が長持ちする。
逆にボディが太かったり、ふくらみがあると、複雑な香りを感じやすい。グラスの中で混ざり合った香りをしっかりと楽しむことができる。
④グラスの容量
当たり前ではあるのだが、グラスの容量も大事。一気にどのくらい飲むのか、どうやって飲むのか、ということも考慮しなければならない。
グラスに開けたビールは、飲みきるか捨ててしまうしかない。
美味しく飲める範囲でいっぱい入るものがいいだろう。

⑤脚はついているかどうか
最後に、グラスに脚がついているかどうかもポイントとなる。
手の温度がグラスに伝わるかどうかで、合うビールの種類が変わってくる。
脚が付いていれば、手の温度はビールには伝わりづらくなる。



脚が付いているので、ビールに体温が伝わらない。

ここからは、実際にクラフトビールの種類に合わせてどんなグラスを使うべきかを紹介していきたい。

本記事で使用したグラスは、ツヴィーゼル・ジャパン様からお借りした、
BEER BASIC/ヴァイツェン S EP
BEER BASIC/パイント EP
BEER BASIC/ビアテイスティング EP
BEER GLASS/ブリュッセル
の四種類。
商品名に「EP」が付いているグラスは、グラスの底にレーザー刻印の「発泡ポイント」が付いていて、泡立ちを長く楽しむことができる。底に付いたポイントから泡が立ち上るのは見ていても綺麗で楽しい。

左から順に、ブリュッセル、ビアテイスティングEP、パイントEP、ヴァイツェンS EP

ピルスナー

おそらく、ビールと言われて一番に想像するピルスナー。日本ではジョッキで飲むイメージがあるが、美味しく飲むには飲み口の薄いものが望ましい。グラスが薄いことで、飲む際に抵抗なく滑らかに口に入ってくる。また、泡も大事な要素となってくる。泡が長持ちするような、細いグラスがいいだろう。
ピルスナーに使うグラスのオススメは二つ。
1つ目は、いわゆるベルギービールでよく使われるもの。今回お借りしたのは、ブリュッセルという形。飲み口が少し狭まっているため、泡持ちが良く、底に向けて丸くなっているため、泡が細かくきれいになりやすい。
日本のいわゆる「プレミアムビール」にオススメの形で、レストランなんかでもこういった形状のグラスでビールが出されることが多い。


日本のプレミアムビールといえば、とりあえずエビスかなあと。

もう一つは、ヴァイツェングラス。小麦で作られたヴァイツェンのために作られた形だが、ボディが細く泡持ちが良いため、ピルスナーにも適している。また、グラスの背が高いため、ビールが勢い良く流れ込み、ごくごく飲める。日本のラガービールは、キレが良くて泡立ちがいいものが多いので、ヴァイツェングラスにも非常にあう。安い発泡酒でも、ヴァイツェングラスと合わせるとかなりおいしく感じる。


ヴァイツェングラスと、ドイツカイザードーム社のピルスナー。

ヴァイツェン・ヴァイスビア

ヴァイツェン、ヴァイスビアにあうのは、やっぱり専用に作られたヴァイツェングラスだ。
細身のグラスだから泡持ちがいいし、飲み口が広がった形で、ふわっと香りが広がってくれる。

ちなみにこのグラス、泡持ちが良すぎるため、同じくしっかり泡立つヴァイツェンを勢い良く注ぐと、泡がこぼれてしまう。気をつけてほしい。

カイザードーム社のヴァイスビア。

スタウト・ポーター

パイントEPと、常陸野ネストのエスプレッソスタウト。

黒ビールのスタウト・ポーターは、大振りなパイントグラスがおすすめ。黒ビールの本場イギリスで飲むような大柄なグラスが、ロースト麦芽の香ばしさをより一層引き立ててくれる。また、しっかり手で握りこむことで温度変化が起こるので、香りの変化も楽しめる。

写真のように握りこむことで、温度変化による香りの変化が楽しめる。

IPA・ペールエール

IPA・ペールエールも、少し太めのグラスが望ましい。こちらも基本的には味と香りをしっかり楽しみたいから、飲み口は薄いもので。
また、IPAの醍醐味は何と言っても、苦味と香りだ。飲み口部分が広めで、外に広がっている形のものがベストだろう。舌の根元の、苦味を伝える部分にゆっくりと到達してくれる。

Tap room No.21のIPA

バーレイワイン

BEER BASIC/ビアテイスティング EPと、ヤッホーブルーイングの、「ハレの日仙人」。

ビールの中でも他とは少し異なる立ち位置のビール、バーレイワイン。はなやかな香りを持つこのビールには、ふくらみをもったグラスがおすすめだ。
ワイングラスのようなグラスに、1/3程注ぐのがいいだろう。
今回はお借りしたビアテイスティンググラスを使ったが、実際にワイングラスを使ってしまうのもお薦め。
バーレイワインは酸味が強いため、飲み口が狭まっていて酸味を感じにくいグラスがベター。

まとめ

クラフトビールを家でおいしく飲むには、グラス選びは重要だ。
せっかく美味しいものを飲むのだから、一番最後に口に運ぶものにはこだわりたいところ。
また、ちょっとしたお金を出して自分で選んだグラスは愛着が湧いて、並んでいるだけでも嬉しいものだ。

グラスにもちょっとだけ、こだわってみてほしい。

今回記事作成にご協力いただいた、ツヴィーゼル・ジャパン様の公式サイトはこちら。

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