カテゴリ: ウイスキー

ウイスキーをおいしいと感じるようになったきっかけは、きっと人それぞれだ。

初めて飲んだその瞬間から「ウイスキー」というものの魅力に取りつかれたという人は、多分そんなには多くないはずで、人がコーヒーの苦味を克服していくのと同様に、いつしかウイスキーの虜になっていたのではないかと思う。

私は、というときっかけは「白州」。
千円ちょっとの180ml瓶に入った「白州」が近所のコンビニで売っていて、試しに買ってみることにしたのである。
グラスに注いでみて、まずその鮮烈で透明な香りにやられた。飲んでみて、柑橘のような、青林檎のような若々しい味にもびっくりした。

飲んだことのない味だった。それはまったくもって朝のようなウイスキーであった。
ウイスキーは夜のものだ、丸い氷をいれたロックグラスの中でちびちび飲むものだ、という固定観念はもはや成立しない。

例えて言うなら「白州」は水彩画だ。それも技巧を凝らしたような、それこそ18世紀にイギリスで発展を遂げたような水彩画なんかじゃなくて、旅先の風景をつなぎとめたような水彩画だ。目を凝らすと絵の具の下に鉛筆の線が見てとれるような、そういう水彩画だ。

水彩絵の具を重ねたような淡い複雑さはあるけれども、油絵のような重厚さはない。空気が通り抜けるような奥行きはあるけれども、ごつごつとした立体感はない。

だから初めての一杯にもおすすめ

だから「白州」は、ウイスキーの重々しさが苦手だという人にもおすすめできる。
ウイスキーはそれぞれ個性的で魅力的なものだけれども、その個性のわかりやすさという意味では「白州」を超えるウイスキーを知らない。

白州

ハイボールにしたときに大変魅力的なのもよい。
特にノンエイジの「白州」なら、ストレートで飲むよりはむしろハイボールで飲んだほうがいいかもしれない。

この世でもっともうまいハイボールだと思う。炭酸の泡が水面ではじけるたびに「白州」の香りが広がる。初夏の渓流はこんな香りだった気がする。
白州ハイボールを知らないのであれば、あなたはきっとすこしだけ人生を損している。
ハーブ系のソーセージと合わせると抜群においしい。
ローズマリーで風味をつけたチキンなんかとも相性がいいに違いない。

ボトルで四千円弱といったところ。

白州12年

ロックやストレートで飲むなら「白州12年」のほうがいい。ノンエイジの「白州」には若々しいと呼ぶにはいささか刺激的な飲み口を感じることがある。
「白州十二年」になると、このアルコール感が抜けてより丸みのある味わいに変化する。もちろん若々しい無垢な魅力はそのままだ。

思えばこんなにハードボイルドじゃないウイスキーもない。まだ発売から二十年くらいのウィスキーだからだろうか。白州蒸留所自体も出来てから40年と少しばかりだし、ハードボイルドには若すぎるのだろう。

ロックやストレートもいいけれど、水割りもおすすめ。「白州」の仕込み水はなんと「南アルプスの天然水」。あのミネラルウォーター、白州蒸留所でボトリングされているというのだから驚きである。

価格は八千円ほど。

ジャパニーズウイスキーの一つの到達点。

考えてみれば白州というのは実に日本的なウイスキーだ。

日本人というのは柑橘が実に好きな民族であるらしい。西洋人にはレモンとスダチ、ゆずの香りの区別がなかなかつかないのだ、という話を聞いたこともある。(逆にヨーロッパの人はベリー系の果実を区別するのが得意なのだという。)
柑橘系の香りのウイスキーというもの自体がそんなに多くはない中で、白州のそれはより繊細な印象を与えはしないだろうか?
白州を飲む時、私は以前開けた甲州ワインを思い出す。どのワインだったかは忘れてしまったがフルーティと呼ぶにはいささか切っ先の鋭すぎる柑橘香があったのは覚えている。

サントリーの白州醸造所があるのは山梨県だというから、土地の力を感じる。

山崎も、余市も素晴らしいウイスキーだと思う。味や香りの好みは人それぞれだ。
私にとっても、白州はNo.1ではない。

だが「白州12年」を飲むとき、ふと僕は「これがジャパニーズウイスキーの一つの到達点なのかなあ」と思うのである。

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編集部 三宅隆平

脳髄を置いてきぼりにして走る

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