ボトラーズ&クラフトウイスキーフェスティバル2016から見る、今後のウイスキー業界の展望

2016/3/6(日)にホテルグランドパレスで、ボトラーズとクラフトウイスキーのイベントが開催された。今回ACCETORYでは、一体これがどんなイベントかというレポートはもちろんのこと、ウイスキーイベントについて抱いた所感を掲載する。

マニアックだが大盛況。ボトラーズ&クラフトウイスキーフェスティバル2016

本イベントはウイスキー文化研究所(元スコッチ文化研究所)が主催しているもの。
同会が主催しているウイスキーイベントは、本来サントリーやアサヒのニッカ、キリンなどの大手メーカーも巻き込んだより大きなイベントで、蒸留所のオフィシャルボトルや、新作ボトルが並んでいる様が目に付きやすい。
しかし今回は、普通のオフィシャルボトルが並んでいるというより、マイナーなボトラーズウイスキーやオフィシャルの年代もの、新進気鋭のクラフトウイスキーなど、珍しいものばかりが集まった、ややマニアックなイベント。しかしながらその動員数は2000名にも及び、会場は絶えず多くの人で賑わっていた。

このイベントは「もっと色々なウイスキーを飲むこと・知ること」が出来るイベントだ。マニアも初心者も関係なく、4,000円の前売り券を事前に支払えば、数々のボトルを無料試飲できる。

中には有料のものもあるが、そちらはその希少度を考えれば納得の出来るものばかり。
また、実際に気に入ったものがあれば購入することも出来る。ボトラーズの相場は総じて高く、おいそれと買えるものでもないので、慎重に選ぶ必要があるが。
世の中にはこんなウイスキーがあるのか。と、自分の知らなかったウイスキーとの接点が作れること、それがこのイベントの大きな魅力の一つと言えるだろう。

会場内ではウイスキーのアテとしてもぴったりなフード類も購入できる。

イベントの目玉でもある別会場でのセミナーイベントも人気を博した。
三本開催されたセミナーはウイスキー界注目の人々による講義で、めったに聞くことの出来ない話の数々に駆け付けたマニアたちの目はギラつかせていた。
簡単な内訳としては

・ウイスキー文化研究所の代表、土屋 守氏による歴代のスコッチ文化研究所オリジナルボトルのテイスティングセミナー。

・堅展実業による、現在建設中の厚岸蒸溜所の進捗報告と展望を語ってもらうセミナー。厚岸で試験的に熟成させている別蒸留所のウイスキーを試飲ができる。

・クラフトウイスキーが増えていく中で、ウイスキーを製造するためにはどうすればよいかというテーマを元キリンの名誉ブレンダー早川 健氏が論じるセミナー。日本のクラフトウイスキーたちを試飲ができる。

どれも別途料金が必要とやや敷居が高いものの、ここでしか知りえない情報とレアなウイスキーばかりを揃えたセミナーで、どのセミナーもほぼ満員という盛況ぶりであった。

会場ブースではバーテンダーオリジナルのウイスキーカクテルも無料で提供された。
今回作って頂いた三人のバーテンダーの方々は、皆そろってカクテルコンペティションで栄えある実績を獲得した方ばかり。
ウイスキーらしさを殺さないままに、甘く仕上げたカクテルが四種類振る舞われた。

女性の人気もさることながら、男性の方も多く、ちょっとした休憩地点のようになっていた。

ウイスキーのイベント。それはこれからのウイスキーの楽しみ方。

ウイスキーフェスティバルは近年のウイスキーブームに追い風を受け、その規模が年々大きくなっている。
これはウイスキー好きにとって嬉しいことである。ウイスキーの盛り上がりを、そのファンの多さを、実際の目で、肌で感じることが出来るのだから。

ここ数年で始まったことではないが、どこを見渡しても食に関しての色んなイベントが活発になっている印象がある。
それについてはいいことだと思っているが、ことウイスキーにおいて、イベントごとはなかなかストンと腑に落ちない。
それはそもそもこのような大イベントが、普段我々が親しんでいるウイスキーの像からすると異質なものであるからだろう。

我々はバーで、酒屋で、不特定のウイスキー好きと時間を共有することには慣れている。しかしそれが数千人を超える規模ともなれば、どうであろう。
きっと皆、初めてのことかもしくは不慣れなものではないだろうか。
そのためきっと最初は戸惑う。
けれどすぐに、その場に慣れていってしまうことだろう。

辺り一帯にウイスキー好きがひしめき合い、一つの酒を美味いと思う。
口々にウイスキーを語り、にこやかに語らう。多くの同胞とそれを共感できることは、とても素敵なことだ。

それはいつもバーで体感している非日常とは、また違った非日常で、これからのウイスキー業界には必要不可欠のものなのだ。

例えばネット上でも、同じように多くのウイスキー好きと楽しみを共有できるかもしれない。コミュニティの大きさもしっかりと確認できるが、残念ながらそれは五感を伝って体感できるものではない。
「ウイスキーを嗜む」ことは、文化や知識が必要であるようでいて、五感を使って楽しむものでもある。
だからこそ、このようなイベントに足を運び、自らの五感を刺激するような経験をすることで、今までとは違った角度からウイスキーを楽しむことが出来る。
うるさい講釈を垂れてしまったが、変に身構えず、ストレートやロックで飲んだりするように、これも一つのウイスキーの楽しみ方として、肩の力を抜いて楽しめばいいのである。

ACCETORYでは今後も、このようなウイスキーイベントを追っていく予定である。
今回は報告の形となってしまったが、次の開催に向けてぜひとも期待を膨らませてほしい。

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