前回の記事ではワインを選ぶときに押さえておきたい5つのことについて説明した。今回はいよいよ実践編だ。
おまたせしました、5ヶ条の時にふれた実践的な方法についてです。 今回は単刀直入にいえばソムリエにワインをたずねてワインを買ってみようという事。
前回の記事はこちら。
ソムリエがいる店でワインは調達しよう。
これは前提編にねじ込もうと思いつつやめたことなんですが、ワインを買う時は基本的にはワインショップ、つまりワイン専門店に行ってください。
今ではワイン雑誌などでもスーパーやコンビニのワイン特集なんてやっているのを見かけますが、あれこそワイン初心者に優しくない。
なぜってワインショップの質まで問われている時代に、初心者が品質管理やワインを知らない人しか店員がいない中で良いワインを買うのは至難だから(スーパーでもコツはあるので、それはまた今度)
本を買うなら本屋。ワインを買うならワインショップ。
ところで、では「ワインショップの定義とはなんぞや?」というお話になるかもしれません。
ただそれを細かく判定したりしようとするのは、面倒でしょう?
なので、短絡思考ですがソムリエ資格(まぁワイン関係の資格)を持っている事を示すバッチ持ちないしバッチつけなくても詳しいオーラがある人がいる店を使うのがいいかな。
しかし・・・
ワインを選ぶ基準の難しさ
例えば、上述の通りソムリエがいるショップに入ったとしましょう。
でも、あなたが初心者である場合、ソムリエに話してワインを選んでもらっても大体シーズンでオススメしてるものに誘導されて終わります。
なぜなら、貴方自身に基準が存在しないからです。

例がいっつも他の食べ物になっちゃうんですけど今回はプリンで。 (元々、私はアキバ系なので、アキバな感じのワードをガツガツ使えたら別の例えになるんですが、まぁここはこれで)
プリンの場合、写真の見た目と説明がすんなり把握出来るかと思います。
写真だったらピスタチオのプリンと芋を使ったプリンですネ。
味の方も芋のプリンの方はある程度「想像が出来る」と思います。
買うと、想定から大きく外れた場合を除けば予想通りの味わいの上で美味しい美味しくないの判断が出来ます。
一方で、ピスタチオの方はそんなにいろんなお店やコンビニで加工品がないから
「想像が出来ない」
わけです。
え、想像出来る?
その場合はピスタチオのプリンないし加工味付け品を食べたことがある訳ですよネ。
または、見た目でどっちのプリンが美味しそうかなんて感じで買うことも出来るでしょう。
ところが・・・・・・


こちらはワインの説明書き
貴方はコレで味の想像が出来るだろうか?
想像出来るんだったら、この文章読む必要ないです。
何故なら自分でこのワインを買うかどうか判断が出来るんですから。
因みに私の場合、
「ある程度想像出来るけれども、いくつかパターンがあるから確定とまでは言えない」
ぐらいかな。
書いてある内容や作り手(ワイナリ)で推理出来るます。
まぁ、プリンと同じ程度には想像が出来るし想定外でも面白がる事が出来る。
これがワイン購入力といえるんでしょう。
でも、貴方がもしもこの写真で「全く味の想像が出来ない」場合、2800円というお酒全体としては高めのお金を払って購入する事は出来ないでしょう。
だからこそ、ワイン批評を読むだとかソムリエに相談するという選択肢が出てくる訳。
手っ取り早くプロに聞けと。
プロが美味しいって言っているのを買えと。
更にお店で働いているプロに聞けばより確実だろうと。
こう皆さん話すわけなんですが、ここにも落とし穴があります。
ソムリエも貴方の言葉はわからない。
ソムリエはワインの味とかを説明したり、判断することは可能です。
しかしながら、初心者たる貴方の言葉を汲み取り、ワインを選出するのはとてもむずかしい。

またこのお店で例にしちゃって申し訳ないんですが、わかりやすいぐらいわかりにくい説明がされてて書きやすいんだよネ。
ここに説明が乗っているんですが、上の白ワインとスパークリングワインの説明にはこう書いてあります。
「蜜のような甘さと豊満でエキゾチックな辛口白です。クリーム系の料理に相性バツグン」
「フルーティーで非常にミネラルを感じるスッキリとした辛口白です。お料理(特に野菜や 生ハムを使用)にぴったりです」
これ、恐らく「初心者向けにショップの人(ないし御上様が)書いた説明」です。
が、これでわかる初心者いるのか?と。または買った後に後悔させてしまわないか?と心配になります。
この文章で味わいが想定出来るのは申し訳ないけど「ある程度ワインを飲み慣れて経験がある人」。
皆さん、思っているハズなのです。
「甘いのに辛口白ってどういうこと?」「ミネラル?」「エキゾチック?」「フルーティーっていうけど果物っていくらでもあるよね?」「野菜や生ハムのサラダと食べろということ?」「クリーム系?」
・・・・・・いくつかのワードに関しては、私は解釈可能ですが(先に書いた想定力が私には多少あるから)、どっちにしてもこの文章は説明が説明たり得ていません。
さて。 プロのショップの宣伝文句がコレ、というのを見ていただいた上で問いましょう。
では、貴方はどんなワインが今、欲しいのか? 説明出来ますか?
もしも貴方が本を鵜呑みにして「ミディアムボディで・・・・・・」とか言ってしまった場合、それは間違いなくソムリエに伝わりません。
もしも貴方が「ハンバーグと合わせる」などの料理で考えた場合も、ソムリエには伝わりません。
何故なら、貴方の言語とソムリエの言語は大きく異るからです。
英語だから日本語だから じゃないヨ?
ソムリエにはソムリエ語や対応するワードが存在するため、貴方の説明を変換して置き換えて提案されるということです。 翻訳機を使うと、ヘンテコで間違った文章になったりするのと似てるかな。
まず、ソムリエの感覚や経験や感じ方と、貴方の感じ方は人間なら当たり前に違うのです。 ソムリエはさっきの説明文を見たような気分になります。
「そもそも、ハンバーグってソースは何でしょう?合い挽きなの?豚オンリーなの?玉ねぎ使うの?」「ミディアムボディって、我々の業界と私の基準ではあの辺りだけど、多分貴方の想像より味薄いよ?」
さっきの説明文と全く同じです。説明が説明足り得ない。むしろ説明出来たら自分で選んでいるでしょう。
でも、ソムリエは何となく提案しなくちゃならない。
そのため、「ミディアムボディって言われたらアレ」「季節に合うならコレ」「肉料理には とにかくソレ」という対応になりがち。
腕利きのソムリエなら汲み取って提案してくれますが、そういう人に巡り合う前提で話すのは本末転倒。 ある程度ワインを呑んで来ると、より具体的に話が出来るようになります し、馴染みの店員 さんが出来れば好みを大体知っていて提案してくれますから、話すだけ でいいんですけど、 その段階になるまでは多少時間がかかるしお店の常連さんになれるほどワインを呑んでいたら初心者ではないわけです。
じゃあ、どうすればいいのか?
百聞は一見に如かず
答えは簡単、以前呑んだワインのボトル写真を撮っておいて見せれば良い。
そのうえで、こう伝えるのです。
「このワインが美味しかったんだけど、似たようなの3つぐらい教えていただけます?」 以上!
ココまで長い文章の割に嘘みたいに簡単でしょ?
この方法の利点は「ソムリエ側に明確な基準が伝わる」ことです。
貴方にとっての「これが良い」「これを目指しているワイン」というのがハッキリとしている。
一例出しましょう。
みんな大好きオーパスワン。
この↑の写真を見せて、似たようなのをと言えば

はい、近場の産地の同じぶどう品種を使った、値段が安いのが出てきます。 え、もっと安いのがいいって?

はい、アメリカ産の同じ品種・・・・・・産地も品種もこだわらないというならば

このぐらいまで別にしちゃったほうが、濃くて美味しいかもしれませんネ。
なーんて、プレゼンを受けることが出来るでしょう。
この方法の利点は、見せた写真のモノに近いワインが出てくる事であり、それに関しては見解が「良くわからないボディだの料理だのを言葉にするよりも一致しやすい」点にあります。
逆に「このワインはハズレだった」という見せ方も出来ます。地雷をそれによって踏まなくなりますからネ。
漠然とソムリエのオススメに従うだけだったり、なんか本で見た言葉を無理やり並べるより、ずっとワイン選びしてる感がある。
こうして経験を積んで、写真の量が増えるうちに、自分の傾向や経験が出来ますし
「この写真のタイプには飽きたから、別のモノを見てみよう」
と次のステップを踏むことが出来ます。 写メをとって持ち歩いておくのは、コレ以上なく正攻法のワイン上達術なのです。
この方法を使うにあたって注意がいくつか。
・見せる写真は「誰でも知っているレベルの知名度」でないと正確さが減ります。私が初回 の「劇的なワイン~」という記事で敢えて「有名で高いワインを呑むこと」としたのは今回の伏線だったのさ!
・知名度が低い場合でも、ブドウ品種やアルコール度数や地域がわかるように写真をとって いる事で近い行動はとれます。それらが潰れて見れないと判断材料が減るのです。
・見せたワインと合致したワインをお店が持っていない事があります。特にイタリアワイン や自然派の場合クセのある品種だったりすると、近しいモノすら出てこなかったり。逆もしかり。
(それを正直に言う店員さんはむしろ信用したいぐらいですが)
・年数が直近でない10年とかたっている熟成ワインの場合、選択肢が大幅に狭まるのでhit率が減ります
・予算設定は敢えて自分から言わないようにしましょう。基本的にソムリエは「予算を超えない選択」をするので、すると「ただただ安い赤ワイン」とかになりがちです。
・この方法を使うと、見せたワインと近しい値段が出せない場合には「見せたワインのダウングレード版」が出てくることになります。そして、見せたワインより高い値段を出した場合に「アップグレード版が出てくるとは限らない」です。
ソムリエも貴方も人間である
さて。 今回色々とお伝えしてまいりましたが、それでも店員の提案がハズレたり、自分の思っているとおりにいかないワインを引いてしまう事もあるだろうと思います(不良品はちゃんと対応してくれるお店もありますから別ネ)。
でも、その時は必ず「こういう事もあるのだ」とその味を楽しめばよいのです。
上の例で出した通り、言葉だけでは伝えにくい事が味には多すぎるのです。
ワインを作ってるのも、売っているのも、選んで呑むのも・・・・・・全部人なので、そういう模様まで大局的に楽しめれば、何となく偉い人になった感ありません?
願わくば、長年つきあえる執事のようなソムリエさんとの出会いが有ることを・・・・・・
・・・・・・え?
「ソムリエと付き合うのは面倒だ」
「自分で選んでみたい」
「もっと初心者にぴったりなワインを具体的に教えてくれー」 ですって?
というわけで、次は「ワイン初心者にオススメのワイン選びのコツ」です。
近日公開!お楽しみに!
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