スターオブボンベイ【STAR OF BOMBAY】 プレミアムジンを語ろうシリーズ3 

さて世のジン好きよ、ご傾注。皆はもうスターオブボンベイを飲んだだろうか。2015年のクラフトジンブームに乗り、ボンベイから発売された少量生産のプレミアムなジンだ。 ボンベイらしさを残したまま、プレミアムジンのカテゴリに恥ずかしくない重厚な味わいをもつこのジンを詳しく見ていこう。

ボンベイサファイアという酒

ボンベイサファイアは歴史が古く、1761年に大英帝国支配下のインドで誕生したジンだ。
マラリア予防のための薬として始まり、それが本国でも飲まれる酒として普及していった。
しかしその歴史の長さに反して、意外にも日本での流通は最近で90年代に発売となる。

実はすでにこのボンベイサファイアの時点でプレミアムジンのカテゴリに入ってくる。

普通のジンはボタニカルをお酒に漬け込むこみ、蒸留させることで香りづけを行うが、ボンベイサファイアの場合は独特の香りづけを行っている。
三度蒸留させたスピリッツを気化させ、そこにボタニカルをくぐらせることでお酒に香りづけを行うヴェイパー・インフュージョンという独自製法をもちいている。
また他のジンよりも数の多い10種類ものボタニカルを使用し、その全てを公開しているなど、ジンの「香り」という部分に独自のこだわりを見せている。

味わいはほのかに塩気があり、香りはジンの屋台骨であるジュニパーベリーと爽やかな柑橘の風味、そしてエキゾチックなスパイスが共存している。香りの強烈さ以外に飲み辛いと感じるようなクセも無く非常に飲みやすいため、女性にもおススメ出来るジンである。(もちろんアルコール度数が高いので、気をつけなければならないが……)

先述の通り香りがかなり強いため、楽しみ方は人それぞれ変わってくるだろう。個性が強すぎるなと感じたら冷凍庫で冷やして香りを抑え、冷やしたストレートやマティーニで味わうのがおススメだ。
常温のボンベイサファイアは強い香りを持っているが、No.3の鋭いジュニパー感とは違い、繊細で絶妙なバランスが存在していて美しい。この魅力にハマると、このジンのクセになる。

やや変化球だが、柑橘系の個性を伸ばす意味合いで、レモンやライムと炭酸を合わせ、ジンリッキーで味わうのもいい。

余談だが、カレーとボンベイサファイアはどちらもスパイシーな風味であるため、フードペアリングの相性が良い。
ジンリッキー、ジントニックのような柑橘と合わせたロングカクテルと共にカレーを食べると、ドロっとしたカレーのルーを柑橘系とジュニパーの爽やかな風味が洗い流してくれて気分よく味わうことが出来る。
機会があったら試してみてほしい。

飽くなき向上心を形にしたジン

スターオブボンベイは、そんなボンベイサファイアの個性を殺さないままに、1.5倍に蒸留時間を伸ばし、新たに二つのボタニカルのフレーバーを加えることで、より上質なボンベイへと進化している。
どんなに現状のクオリティが高くとも、その先に達したいと思ってしまうのが人の性なのであろう。
スターオブボンベイはその個性を踏襲しつつも新たな境地へと達したジンであると言える。

では、新たな境地とも言えるスターオブボンベイの味わいを見ていこう。

通常のボンベイと共通するボタニカルはこちら。

・ジュニパー・ベリー 言わずもがな、ジンに必要不可欠のボタニカル。風味の中核となる。
・アンジェリカルーツ セロリのような青々とした香りを持つ。製菓の材料にも用いられる。
・アーモンドオイル 遠くほんのりとアーモンドの香ばしさがある。
・レモンピール フレッシュで爽やかな香りを持つジンの中には入ってることが多い。
・オリスルーツ すみれのような香りのハーブで、ポプリとしても使われる。
・コリアンダーシード カレーにもスパイスとしてブレンドされるもので、柑橘系のさわやかな香りを持つ。
・グレインズ・オブ・パラダイス 見た目がコショウのようでいて味もピリッと辛く、カルダモンのようなレモン香を持つ種。
・リコリスルーツ 甘草と呼ばれ、薬としても用いられる。シュネッケンというタイヤみたいな味のグミの材料でもある。
・カシアの樹皮 香りと見た目がシナモンに近いためよく代用される。こちらの方が赤みがかった色合い。
・クベバ オールスパイスにも似た香りと甘さを持ち、松ヤニのような風味もある。

そこにベルガモットとアンブレットシードが加えられ、より華やかで甘みのある香りが感じられる。

・ベルガモット 甘さを持った柑橘系の香りがする。アールグレイ茶葉の香りづけに使用されることが多い。
・アンブレットシード ムスクシードとも呼ばれ、香水などで用いられる妖艶な甘さを放つムスク香がする種子。

実際に味わってみると、甘い香りが加わったためか、ボンベイサファイアが持つ柑橘やジュニパーの香りの強さがやや穏やかになっていて上品で繊細。舌触りはよりトロっとした滑らかさがあって、ボタニカル由来の苦みが癖になる。ストレートで楽しむならば、完全にこのスターオブボンベイが勝る。

しかしアルコール度数47.5%、750mlで定価が5000円と、かなり値が張るのがネックだ。(実際の小売店では3800円くらいで買えるけれど、それでも高い。)ボンベイサファイアのあの強烈な香りが好きだという向きからすると、このジンの上品さは少し肩透かしを食らうかもしれない。より安くてお得に個性的な味わいが欲しいのならボンベイサファイアで充分である。肩透かしを食らうのが不安ならば、バーなどで試し飲みしてから購入を検討してもらいたい。

スターオブボンベイ ―飽くなきジン好きのために作られたオートクチュール―

サファイア色の美しいボトルに身を包んだこのジンは本当に美味しいジンを求める探求者たちのために作られたと言っても過言ではない。ボンベイサファイアだって立派なプレミアムジンだ。にもかかわらず、その上に君臨するクラスのジンとしてこのスターオブボンベイは作られた。より美味しく、より心高鳴る一杯を……。そんな声を具現化したのが、このジンなのである。
あなたがジンをこよなく愛するというのなら、こだわり抜かれたこの美酒をじっくりと味わってはいかがだろうか。

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