スコッチウイスキー入門 第六回 ウイスキーのボトラーズに迫る。後編

前回と関連して、ボトラーズウイスキーのブランドを取りあげる第六回。そろそろマニアックになってきて入門とは言えなくなってきたので、暫定的な最終回。

ボトラーズウイスキーのブランド

前回はボトラーズウイスキーにおいて見るべきポイントをいくつか紹介した。
今回はそれに引き続き、具体的なブランドの紹介をしていこうと思う。

スコッチウイスキー入門 第五回 ウイスキーのボトラーズに迫る。前編

2016.08.10

ゴードン&マクファイル(Gordon&Macphail)

ボトラーズと言えば、これというくらい有名なボトラーズブランド。
グレンリベットやストラスアイラ、マッカラン、ロングモーン、リンクウッド、モートラックなどの原酒を多く取り揃えている。

1896年に設立された英国最古のボトラーの一つで、ウイスキーの貯蔵量も圧倒的である。
特に古酒の在庫が圧倒的で、銘酒だと言われるボトルも多いが、味相応にかなりの値段。

コニッサーズチョイス

同社の顔となるシリーズ。
ラベルにビンテージを記載したスモールバッチのシングルモルトを、様々な蒸留所から揃え販売するという、ボトラーズスタイルを始めた草分けのような存在。
なかなかリリースの少ない蒸留所や銘柄を、ボトラーズにしてはリーズナブルな価格で楽しめる。
その価格は平均10000円台ではあるものの、オフィシャルとの違いがハッキリ分かるので是非試してもらいたい。

ケイデンヘッド(CADENHEAD’S)

1842年創業したスコットランド最古のボトラー。100年以上、創業者家の元で経営されていたが、1972年、スプリングバンクを所有するJ&Aミッチェル社に経営が引き継がれた。チルフィルターとカラーリングを行わない、自然な状態で提供することをポリシーとしているため、蒸溜所との繋がりと品質の高さに優れている。多くのボトラーに樽を供給している(のちに紹介するキングスバリー、シグナトリー、サマローリなど)ことから、その貯蔵量の多さがうかがえる。

オーセンティックコレクション

年代、蒸留所がまったく同じものを別の樽で寝かせたラインナップがあり、風味の違いを比較することが出来る。

キングスバリー(kingsbury)

1989年に設立されたボトラー。
元々はイーグル・サムという社名だったが、代表的なシリーズに社名をあやかり、「キングスバリー」と社名を変更した。

現在のボトラーズブランドとして有名なゴードン&マクファイル社やケイデンヘッド社が、ようやくその頭角を現し始めた時代の中で、
シングルモルトの魅力や可能性を見出し、モルトウイスキーの持つ個性を発揮させるべく、
樽の選定やシングルカスクという概念、流行のチルフィルターを使用しないなど、その当時では実に新しい取り組みを次々とこなしていく。
その結果として、数々の伝統となるボトルやシングルモルトを世に送り出し、名だたるボトラーズブランドとしての地位を確立していった。

コンセプトとして、シングルモルトの年代ごとによって特別な個性が存在すると考え、そのキャラクターを活かす熟成を心掛けている。
蒸留所の個性を活かした正統派なボトルが多いためか、ボトラーズの中では落ち着いていると判断されがち。

一本当たりの値段は10年未満で3000円台から、熟成が進んでいくにつれて数万円台となる。

シグナトリー(signatory)

1988年創業のボトラーズで、ボトリングから保管に至るまでの全ての業務を自社で行っている。
カリラ、エドラダワー、ハイランドパーク、モートラック、ポートエレン、ボウモア、クライヌリッシュ、ダラスデューなどの蒸留所のウイスキーを揃えている。
基本的にシングルカスクで販売をしており、カスクやボトルのナンバーが記載されているため味の違いが見分けやすく、樽がもたらす個々の違いを楽しむことができる。ヨーロッパ向けにアンチルフィルタードコレクションなどを発売するなど、一樽の品質にこだわっている印象がある。

4000円弱で若いモルトを販売していたりするが、ためし買いで何本か楽しめばいいのではないか。
全体的に軽い、薄いという評判を良く耳にする。しかし一転して、古い原酒はかなり評価が高い。

ダンカンテイラー(DUNCAN TAYLOR)

1938年にアベ・ロッセンベルグ氏により、アメリカ合衆国で設立されたボトラー。
スコッチウイスキーに魅せられたアベ氏が1960年代初頭からスコットランド全域の蒸留所の樽を購入したことで始まったボトラー。その膨大かつ希少なプライベートコレクションは世界中から賞賛を受けていて、1960年代の原酒の保有数は世界最大と言われている。アベ氏の没後、2000年になり、現オーナーのユアン・シャーン氏がそのコレクションを引き継ぎ現在に至る。

このところずっとウイスキー界で注目されているピアレス(peerless)香(比類なき、という意で、トロピカルフルーツのような香りだと例えられている。)が、この60年代のモルトから香ってくるのだという。

全てのボトルにこのピアレス香があるわけではないが、このブランドが展開しているピアレスコレクションは一飲の価値ありと言ったところ。
現在は長期熟成が難しくなり、ダイメンションシリーズ(dimensions)と名称変更されている。
1万円付近で提供されるボトルも多く、中にはかなりの大当たりのモルトもあるため、目が離せないブランドの一つである。

スリーリバーズ(3R)

我らが日本のボトラー。名前の元ネタはアニメ「サザエさん」のあのお店。
アーティスティックなボトルデザインも多く、独特の尖りがあるコンセプトのウイスキーばかり。
ボトルのテイスティングに際し、バーテンダーの方々に意見をうかがうなど、飲み手目線をしっかりと観察しているおかげか、ハズレのボトルは少ない。
また、流通に限りがあるため、新発売のボトルでもなかなか手に入れるのが難しいボトラーである。

サマローリ(Samaroli)

イタリアのブランドで、スコットランド国外で立ち上がった初めてのボトラーでもある。1万円を切るリーズナブルなボトルは少なく、やや富裕層に向けた商品展開が多い。
オーナーのサマローリ氏を軸に小規模で運営しているため、発売するボトルの数自体がボトラーズの中でも圧倒的に少ない。
それでもなお、国内外で高い評価を受けているのは、サマローリ氏が提供してきたウイスキーが本当に美味しいという信頼を得続けているからだ。

しかし最近はなかなか新作のボトルが販売されず、ファンはもどかしい思いをしているようだ。

自分だけのお気に入りを見つけよう。

今回紹介したブランド以外にも、多くのボトラーズが存在している。
それらを探してみるのも良いし、徹底的に自分の好きな蒸留所のモルトに絞って、様々なボトラーズものを飲み歩くのもいい。

これまでの入門記事を通して、
スコッチウイスキーの中にある一本に注目してみたとき、それが様々な要素を持っているのだということに気付けるようになっていたら、幸いである。
知識が多いということは煩雑なことだが、それは同時に色々な楽しみ方が出来るということでもある。

お気に入りの香味、お気に入りのブランド、お気に入りのモルト、ブレンデッド、 何でもいい。
自分だけのお気に入りを見つけよう。
そして深い深いスコッチの世界を、それぞれが思うままに楽しんで欲しい。
さぁ、これであなたも脱初心者。
思う存分、ウイスキーの世界にはまっていこう。

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