カテゴリ: ワイン

品種は覚えなくても良い

ほぼ全てのワインに関する本というのは「品種の把握」を絶対的に大事だと訴えています。

これは所謂初心者向け本にかぎらず、ワインテイスティングを職業的に必要としている人向けのテキストでも同じです。

確かに品種による傾向や個性、大体の事が分別出来るようになることはワイン呑みとしては大事な事なんですよ。
また、土地によって品種の良し悪しがあったりしまして、それを考え思いを馳せるというのはワイン呑みの楽しみのひとつだとも言えるでしょう。

ただし、初心者なら品種を無理に覚える必要は0です。

それらはワインをかなり詳しく勉強しようとする段階でやることであり、それこそワイン試験を受けるみたいな人なら必須なんですが、ズブのトーシロはそんなテキストを読んで把握出来る訳がないのです。
こんなテキストが大抵、植わっているブドウの写真と一緒にのっています。

「ピノ・ノワールという品種はブルゴーニュ地方の偉大な品種で、発育が難しい赤ワイン向けブドウである。イチゴやラズベリーやアセロラのような香りが若いころからあって、熟成すると土やジビエやなめし皮のフレーバーがあらわれ、酸味は多いがタンニンが少なく飲みやすい。繊細なニュイに対してより田舎的なボーヌといった具合に、畑の個性は出やすくなっている。除梗の有無も大きく影響を受け、クリアさと熟成における味わいの多様性の鍵となっている。新世界のモノになるとよりジャミーな味わいと甘さが引き立ちより濃厚になるが、ブルゴーニュの繊細さが出にくいとされている。日本でも人気の為多く作られている」

えーっと、わかりましたか?

同じことをラーメンでやってみましょう。

「横浜家系ラーメンとは神奈川県吉村家発祥の醤油豚骨のスープにチーユ(鶏油)を加えたラーメンである。麺は太麺でほうれん草、チャーシュー、ノリが基本的なフレーバー。トッピングにおろしにんにくやコチュジャンや生姜が添えてある。また、味の好みを注文時に伝えるコトが出来る。吉村家直系は更に酒井製麺所の麺を使用している。直系のお店は老舗も多く古風なラーメン屋らしさが残っている事が多く、しょっぱいコトも多い。吉村家以外の大手外食チェーンなどが家系を名乗っている場合、無料のライスがついたり味わいがよりマイルドになりわかりやすいクセの弱いものになる事が多いが、亜流の味だと評される事が多い。横浜という地域名があるが実際のところは東京都心部の駅近くに大手チェーンによる家系風を提供する店が増えておりご当地感は低くなってしまった」

……さて、全部読みました?

こんなの何種類と系統を覚えてからラーメンを食べ比べようって人は超ラーメンマニアな訳です。
上のテキスト見ながらラーメンを食べる人ってまずいないだろうと思いますけれども、しかしワインの場合はテキスト見ながら呑む人が実際多く存在する訳。

それに横浜家系ラーメンだってお店によって味が違います。同じ家系ラーメンでも店が違えば味が違う。ここに理由説明は不要でしょう。

なのにワインになると呑んでもいない品種の差を覚えようとは皆考えている。それも初めから品種の差を感じる事がスタートになっている。
同じ品種でも作ってる人が違えば味が違うのに。

確かにベースの味は似ているのですが、最終的にそこでワインを選ばないんです。

家庭でのワイン選びやワインマニアというのは最終的には「誰が作っている作品か」で選ぶようになります。
ラーメンもこのお店がいいってなるようにネ。

もう少し、この話を深く書いておきましょう。私が必ず品種覚えがあまり重要で無いことを説く時に使う逸話なのですが・・・・・・

世界最高峰のソムリエも神の舌ではない

皆さんも田崎真也さんを知っていると思います。
田崎氏といえば、ワインブームを起こしたこともある立役者ですしソムリエ協会理事になったり、なんか食レポおじさんやってたりする人ですが、彼が何故著名人になったかといえば「世界最優秀ソムリエコンクールの優勝者になったから」です。
世界最優秀ソムリエコンクールは各国からソムリエが代表選手として参加して、なんかオリンピックみたいに競技をして世界NO1を決める大会。
つい先日、アルゼンチンでの大会が行われこの様子はNHKがBSで放送しているぐらい知名度の高い(ワイン界隈では唯一クラスの)ビックイベントといえるでしょう。
2013年に日本で行われた大会ではパオロ・バッソさんというスイスの代表者が優勝しました。

ソムリエ選手権の中では「ブラインドティスティング」が競技に含まれてまして、つまりワインの銘柄を見ずに呑んで、そのワインがどういうワインかを説明するゲームです。
例えば、味の構成の説明・品種は何か・国はどこか・どういう状況で呑むべきか・温度はどれぐらいがベストか・・・・・・などなど説明し、ブドウ品種を当てたりします。
さて、パオロ・バッソ選手、彼は優勝した決勝戦で出された白ワインにこう答えています。

「このワインは・・・日本の甲州品種だと思います」

日本を代表する地品種、甲州。日本で行われてる大会だからとメタゲームした訳ネ。

でも正解はインドのスーラ社が作るシュナン・ブラン品種でした。

スーラのシュナン最近呑んでなかったので代理。シュナン・ブランの世界最高峰アルヘイト様。

この全く違う回答をしているコンクールで、パオロ・バッソ氏は田崎真也氏と同じ世界最優秀ソムリエになっています。ついでに言うと他に呑んだのも大体外してますし他の選手も当てられなかった。
他にも、ピノ・ノワール品種をサンジョベーゼ品種と答えたりなど・・・・・・
これはまぁ、世界ソムリエコンクールが意地悪な問題を出す場所だというのもあるんですけれども、世界最優秀ソムリエですら結果はこうなのです。

珍回答というわけではなく、世界トップクラスの勉強をしている国の代表でも品種の差を明確には感じ取れないのです。

ですから、ワイン初心者である皆さんが品種を呑んでもさっぱりわからないのは当然です。

セパージュにこだわりすぎる呑み手

セパージュとは、日本語訳すると「ブドウの品種の割合」です。
ワインの場合、ひとつの品種だけでワインを構成するケースと複数のブドウ品種で構成するケースがあります。

例えば、このワインはカベルネ・ソーヴィニヨンという品種が100%使われているワインです。
(実は国によって「カベルネ・ソーヴィニヨン」とだけラベルに書いてあっても、実は他の品種も混ぜてあるケースがあるのでアテにならないことも)
今回の場合は単一って訳ネ。

こちらは逆にフランスはボルドー地域のワイナリです。
えー、品種構成(セパージュ)は調べるとカベルネ種60%、メルロ種36%、プティ・ヴェルド種4%らしいです。
・・・・・・ここで、「らしい」と書いてるのはちょっと意図があります。
品種によってはこうして色々混ぜて最適化するというのは普通に行われてまして、その構成内容によって味わいに差が出ると言われています。

で、この数値をやたらと気にする人が多い訳。

まぁ、私も後々で記事にしたりするので「何が入ってるワインなのか」として気にはとめておくのですが良くワインショップで飲んでいたりすると

「このワインの品種はなんですか?正確な%を教えてください」

みたいな人に遭遇します。というか、それをソムリエに求めまくるって感じ。
ソムリエも大体はわかるけど、数%までは知らないし、それどころか記載情報なんて正確じゃないッスよ?
上のラネッサンというワインでこの質門をした場合、ソムリエ側からは
「カベルネが主体ですよ、この価格帯としては珍しいですね」
と返答がくることでしょう。
そこで更に正確な%を提示しろ!とツッコミを入れて、ソムリエに調べさせる人とかがいる訳(私もたまーにレアな品種使ってるワインで調べさせちゃうコトあるんだけどさ)。

細かく知りたいというのはわかるけど・・・・・・そもそも記載されてる数値と中身が100%合致してるケースが品種100%の場合以外ありえないのです。

科学的に分析して結果を出している訳でなく、あくまでもブレンドする段階で目安を決めているにすぎない訳ですから、まして一桁の数値のものが合致するかどうかというとそれはないと。

または、表記の成約の上で数値を改竄したり自分のところで植えているブドウの面積を乗っけてるだけだったりという事もあるようです。
(イタリアのソムリエとかインポーターとかに話を聞くとそういうケースがままある事が笑い話となっています)
更に言えば、カベルネ・ソーヴィニヨンと表ラベルに表記されているようなワインでも、実は「カベルネ以外が入っている」なんて事すらあります。

かの有名なコノスルのカベルネ(ヴァラエタル版やレゼルバ版など)は実はカベルネ以外にメルロや複数の地品種が数%入っています。
あれだけ品種の参考資料と界隈のエライ人にまで言われてるのにネー。

なので、「大体カベルネ、それにメルロとちょぴりプティ・ヴェルドだよ」までわかればもう十分なんですよ。
ところが上述の通り%まで把握しようとする人はかなり多い。
「品種が何よりも大事」
と教わってきた弊害がここにある訳です。


味覚検査委員になる訳でもないのだから、気にしすぎてもしょーがないのです

品種を超えたラフな楽しみ方

例えば、こんなワインがあります。問います。

このラベル(エチケット)を見た時、何を考えました?

「セパージュは何なのだろう?」と即考えるのはヘンな勉強しすぎ。
「絵柄がかわいいですネ」「なんか十字架の感じヤバないっすか?」ぐらいラフにとらえた方が気楽で良いのではないでしょうか?

はいはい、正解はこんなワインでした。
で、次の問いかけ。

「メルロー80%フラン20%」というセパージュ表記と「生産者の娘の書いた絵がモチーフのラベル」という中身になんら関係ない外的情報では、どちらが味に影響するでしょうか?

その答えは・・・・・・各々でラベルを見ながら確かめてみてくださいまし。

繰り返しになりますが、世界最強のソムリエでも目隠したらわからないこともある品種の把握を、ワイン初心者はしなくても大丈夫。
もっと気楽になっていいんですヨ!



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シンク・P・ノブレス

このライターはフルボディです。http://sinquwine.blog.fc2.com/ 「オタクdeワイン!シンクのティスティングノート」よりやってきた。 「オタクこそワインを楽しめる!」「ワインは萌えだ!」が信条。此方では 「オールユーザー向け地球一わかるワイン入門」 を目指して頑張りまス!ENJOY!!

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