サンジェルマン エルダーフラワーのリキュールに迫る。

ハーブティーとしては有名なエルダーフラワー。 そのフレーバーはリキュールにも存在するようです。 世の中には、色んなリキュールがありますね……。

バーで気になる、あのボトル。

今更当たり前だが、洋酒とは嗜好品である。
香りや味わい、土地、歴史、製法。
多くの要素を孕み、そしてその数だけ人にこだわることを要求するシロモノだ。

ボトルの美しさというものもまた、洋酒を構成するそれらの一要素であり、バーに足を運べばその美しいライティングの妙もあって、一つの芸術作品を見ているかのようである。

バーカウンターに座っては、そんな風に一人ぼーっと美しいボトルたちを眺めていることがままあるのだが、最近そのバックバーで見かけるようになった、とあるリキュールボトルがあった。
淡いシャンパンイエローで背の高いそのボトルは、
ともすれば香水でも入っているのではないかと錯覚するようなほど美しく、気品ある佇まい。

そのボトルは席から離れていたため、スタッフを呼び止めてそのボトルの正体を聞いた。
(その時場所が離れていたのは必然で、筆者がよくウイスキーのよく見える位置に座るためだ。バックバーの配置としてリキュールとウイスキーの配置が遠いことは、バーではよくあること。)

「サンジェルマンですね。当店では最近仕入れたばかりなんですよ。」そう言ってバックバーへ去ろうとするマスター。
カクテルを頼んだわけではないのだけれど!と思いながら見送ると、
彼が持ってきたのは確かに、綺麗なシャンパンイエローのボトルだった。

「サンジェルマンって、カクテルでありますよね。シャルトリューズで作る……、」
喉まで出かかった疑問を抑え込むことができず、そう尋ねるも、
「確かにややこしいですけれど、これはエルダーフラワーのリキュールなんです。ジン・マティーニとマルティーニワインの関係に似てますかね。」
と言われてストンと落ちた。

シュルトリューズヴェールとグレープフルーツジュースで作るカクテルと同名の、
エルダーフラワーリキュール。
なんともややこしいので、きっと「エルダーフラワーリキュール」という呼び方で通してしまうことだろう。

西洋では身近な薬草、エルダーフラワー。リキュールとしての歴史は浅く。

 

エルダーフラワー(ニワトコ)と言えば、ハーブティーの定番ハーブのひとつ。
主に上の写真のように花を用いる。
マスカットのような香りがして、ひき始めの風邪にも効果があるため、嗜好品としても楽しめるし、デトックスや健康維持のために飲む場合も多い。
保存の利くコーディアルシロップに加工され、ヨーロッパでは伝統的に親しまれている。

サンジェルマンの歴史は、エルダーフラワーの人気と照らし合わせると意外にも浅い。
(コーディアルシロップをカクテルに加えるだけで事足りていたのではないだろうか……?)
けれど2007年の発売から、翌年サンフランシスコスピリッツチャンピオンシップで金賞を受賞し、今では西洋ではメジャーなリキュールの一つとして評価されているのである。

2年ほど前にようやく日本でも正規品が発売されるようになり、
現在はカクテルコンペティションに用いられるなど、露出の機会も増え、じわり認知度が上がっているようだ。
これはひとえに、他のリキュールにない個性的な味わいが起因しているのだろうが、やはり目を引くアールデコ調のボトルが魅力的なのではないかと思う。カクテルを作る際はボトルを表に出す場合が多いし、そういう時に、このボトルが目の前にあったらより美味しく感じてしまう。

サンジェルマンをどのように楽しむべきか。

スムースな穀物のスピリッツとオードヴィ(ブランデー)がベースとなっているが、アルコール度数は20%であまり高くない。
元のエルダーフラワー同様、フルーティな香りが心地よいので、
ストレートで頂いてもいいが、カクテルに使うのがいいだろう。

特にクラシカルなカクテルの一工夫に、サンジェルマンを使うというのがオススメだ。
例えば、夏ならモヒートにラムとこのリキュールを2:1で。

オールシーズンでは、カンパリベースのアメリカーノに。
とこのリキュールを4:1で。

他にも色々妄想が進む。
ワイン(特にシャンパン)と合わせてもいいし、手軽なロングドリンクに加えてみるのもいい。
なんともまぁ、カクテルの良きアクセントとして機能するお酒だろう。
サンジェルマンをクラシカルなカクテルに入れて飲みたいんだけど、なんて言ってバーでオリジナルを作ってもらいたいリキュールだ。

「そういえば、」
このリキュールに合うカクテルは何か、あれこれマスターと語り終えてしばらく、
思い出したように彼は言った。
「アメリカではセントジャーマンって呼ばれてた気がします。仏語ではなく英語読みでカクテルの方と区別を付けていたんですね。」

個人的には、
マルセイユ・プルーストの『失われた時を求めて』に出てくるお洒落なベルエポックの大通りが思い浮かぶので、ニューエイジっぽい英語読みの方は却下したい。

自分でカクテル作る方は是非。でも最初はバーで頼んだほうがいいかも。

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