黒ビールの違い。そのビールはシュバルツか、スタウトか、ポーターか。

スタウト。ポーター。シュバルツビール。どれも同じ「黒いビール」だが、その味わいや製法がまるで違うのはご存知だろうか。 なんとなく色で判断して重たそうだと嫌厭しがちな黒ビールの誤解を解いていきたい。

黒ビールとスタウト

黒ビールを飲もうと思った時、日本製のものに目をやると、そこにはだいたい黒ビールかスタウトと書かれている。

しかし、この日本の黒ビールに対しての区分が曖昧だということは、あまり知られていないように思う。
スタウトと言う単語をあまり耳にしないかもしれないが、大手ビール会社でもそれらのスタイルのビールを販売している。

本来このスタウト(stout : 強い、しっかりとした)は、アイルランド発祥のエール(上面発酵)スタイルの黒いビールを指す。
元をたどれば英国ロンドンで人気を博したポーターと呼ばれる上面発酵の黒ビールのスタイルからの派生であるが、現在その二者は区別される傾向にある。

それに対し、ドイツのシュバルツ(Schwarz : 黒の意)に代表されるようにラガー(下面発酵)のスタイルで作られるのが、いわゆる黒ビールだ。

シュバルツにせよスタウトにせよ、ローストした黒い大麦を使い醸造されたものであるが、ビールの本場ヨーロッパでは国ごとの法律によって黒ビールの種類が細分化されている。

しかしながら日本における区分は大雑把で、原料に色の濃い麦芽を用い、ビール本来の色も濃く、香味が強いものであればスタウトと呼べてしまう。
そのため黒ビール≒スタウトという公式が成り立っているのである。
実際、大手ビール会社から、ラガーのスタウトが出されている。

とはいえ、黒ビールは本場ヨーロッパからの輸入ビールも多いため、種類をはっきりと分けて覚えていた方がいいだろう。

ポーターとスタウト

上の説明を読んだあなたは、じゃあ、同じエールのポーターとスタウトの違いは何なのか。と思うはずである。しかしここには明確な線引きや規定があるわけではなく、エールで、ポーターよりアルコール度数が強くて、生産者がスタウトと言っていればスタウトである。

本来はイギリスで生まれたポーターが元にあり、アイルランドに渡りスタウト・ポーターに改良された。
いつの間にかポーターが取れ、スタイルとして確立。スタウトと呼ばれるようになった。

ポーターがパテントモルト(黒く焦がした麦芽)とともに用いている褐色の麦芽を、スタウトが用いなくなった(パテントモルトと白い麦芽で作る)ため、両者を区別するに足る違いが生まれたという説がある。
そのためアルコール度数以外にも若干の味の違いがあり、スタウトの方がより強いロースト感が感じられ、銘柄によってはコーヒーフレーバーと評される。

両者に共通する特徴は、炭酸が少なくホップの鮮烈な苦味も抑えられていて、まったりとした口当たりであること。喉ではなく舌で味わうといった感じか。
インペリアルスタウトと呼ばれるアルコール度数10%程度のスタウトは、常温で飲むと香りがしっかりと立って美味しい。

ポーター・スタウトの主な銘柄

スワンレイク・ポーター

瓢湖屋敷の杜ブルワリーが造る世界に認められたポーター。米国で開催されるワールド・ビアカップで二度金賞に輝いた。アルコールは6%。330mlで760円とビールにしては高い部類に入る。
しかし、その値段に納得してしまうほどモルトの風味が豊かで、フルボディ。
ぐびぐびと飲むものではなく、じっくりと味わって飲むにたる、ポーターの見本のような存在。

ギネス エクストラスタウト

言わずと知れた有名なスタウト。アルコール度数は5%。330mlで250円。
缶のギネス(ドラフトギネス)にはフローティングウィジェットと呼ばれる仕組みが施されており、窒素ガスの泡が下に降りていくような見栄えとクリーミーな泡を再現することができる。
エクストラスタウトの方がアルコール度数が高く、味わいも濃厚である。その代わりガスが炭酸であるため、あのクリーミーさはない。
チョコやコーヒーのような香ばしさが見られ、ホップとはまた違う、ローストの苦味が楽しめる。

余談だが、バーやパブなどでしっかりと泡を作った生のギネスは本当に美味である。こちらはパイントで1000円の値段だが、欲をかくなら生がオススメである。

ケストリッツァー シュバルツビア

アルコール度数は4.8%。330mlで480円。
フルーツのようなアロマと、ビターなモルトの味わいがマッチしている。スタウトと違い、日本の大手ビールと同じラガーのため、ミディアムボディで飲みやすく清涼感もある。
詩人ゲーテが愛したビールとも言われている。

COEDO 漆黒

コエドブルワリーのシュバルツビール。
アルコール度数は5%。333mlで350円。
一口飲めば、ローストした麦芽の風味が口中を支配する。
そのインパクトに反して、飲み口がスッキリしているため、スルスルと飲めてしまう。スタウトに見られるような引っかかる風味がなく、ローストの香味がただただ心地よい。

まとめ買いだと少しだけ安くなる。

夏でも冬でも、黒ビールを楽しもう。

冬に飲むイメージがあり、あまり夏には見かけない黒ビール。
けれど、しっかりとそのスタイルを理解すれば、夏には爽やかな後味のシュバルツビールが合っているし、
冬には度数の高いスタウトをゆっくりと常温で飲んでもいい。
黒ビール一つに目を向けてみても、こんなに奥深いということを理解していただけたのではないだろうか。

日本でも地ビールブームの折、
黒ビールがもてはやされたこともあって、現在もなお、日本のブルワリーで黒ビールを作っているところは少なくない。
上記の他にも日本の各地に黒ビールを作る醸造所があるため、旅行などでそのようなブルワリーの近くを訪れた際は是非楽しんでもらいたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です