スコッチエール、スコティッシュエールの違い。 スコットランドのビール事情

ビール沼にはまっていくと、ビールのスタイルの違いにつまづく。 同じようなビールのくせにスタイルが違くてややこしいし、違いがわからない。 今回紹介するスコッチエールとスコティッシュエールも、その一つなのではないだろうか。

スコットランドは、ウイスキーだけじゃない。

これは当たり前の話ではあるが、ウイスキーもビールも、同じ大麦を原料としている。

なら、ウイスキーで有名なスコットランドはビールも美味いのではないか。そうに違いない。
なのになかなかビールで有名だという話を聞いたことがない。
むしろイングランドやアイルランドの方がメジャーだ。
IPAやスタウトをはじめとして、多様なスタイルのビールを楽しむことができる。

しかし実は、スコットランドでもビール作りは行われている。
それどころか、オリジナルのスタイルが確立されているのだ。

それが、スコッチエールスコティッシュエールの二つ。
どちらも同じスコットランドのエールという意味であるが、指しているエールの種類が違うのである。

スコッチエールはベルギーを主とした外国に向けて販売することが主目的の、度数も味わいも濃いエールのことを指す。
そしてスコティッシュエールは、スコットランド国内で消費する比較的ライトな口当たりのエールのことを指すのだという。

スコッチといえば、イギリス国内では当然ウイスキーのことを指すため、
スコッチエールの方は90シリングエール(シリングとは昔のお金の単位でいつしかビールの濃さを表す単位となったもの。数値が高いほどより濃い味わいである。)と呼ばれる。スコッチエールという呼び方はベルギー他、外国から呼ばれているものである。
なお、スコットランドでは、スコティッシュエールにもシリング表記が用いられ、60−80シリングがスコティッシュエールとなっている。

スコティッシュエールはスコットランド人にとっての一般的なエールだが、ホップがあまり感じられない。その上、麦の香味がじんわりとする赤銅色のエールであるため、しばしば無個性なエールだと判断されがちである。日本にもほぼ輸入されず、手がけようとする国内のブルワリーも少ない。
ホップを効かせたIPAなどが人気であるということも起因して、なかなかにマイナーなエールであろう。

このような麦の風味が特徴的なエールへ発展したのには理由がある。
ウイスキーにもビールにも使用される大麦は、寒冷地帯であるスコットランドの環境でよく育つ。
けれどビールづくりに肝心なホップが自生していなかったスコットランドでは、ホップは輸入に依存しなければならない高級品だったため、ホップの使用が抑えられ、モルトの風味が際立ったビールに発展していったのだと言われている。

使われるモルトは軽く焙煎をするため、大麦の風味が豊かに香り、チョコのような香ばしさをほのかにまとったエールが誕生する。

とはいえスコッチエールとスコティッシュエールのスタイルの区分はややこしく不確かな部分も多い。
なのでスコティッシュエールの方が度数が低く飲みやすい方。
スコッチエールが度数が高くて麦の風味も強い方。

という認識でいれば間違い無いだろう。

スコティッシュエールのおすすめ

日本ではおろか、スコットランドでも流通量が少なくローカルなスコティッシュエール。
モルトの風味が感じられる軽いエールが欲しい、というニッチな思考をお持ちでない方には、口に合わない場合があるかもしれないことを先に記しておきたい。

那須高原ビール スコティッシュエール

アルコール度数5%。330mlで600円ほど。

スコティッシュエールを定番ラインナップに加えている稀有なブルワリー。
ネットでも手に入るため是非とも試してみよう。
香りを嗅いで予想外の甘さに驚くことだろう。それに対して口に入れればほのかな甘さが広がっていく。
じっくり飲みたいエールの一つのため、ちょっといいことがあった時に、これをチェイサーにウイスキーをやる。なんて飲み方もアリ。

ベルヘブンブルワリー 80シリングスコティッシュエール

アルコール度数は3.9%。330mlで500円ほど。

本場ベルヘブンブルワリーのスコティッシュエール。
80シリングくらいのスコティッシュエールだとちゃんと個性を感じられるだろう。
モルトの甘味がしっかりと感じられ、飲み口はそんなに重くない。

日本で買えるケースは稀なのでマニアックな瓶ビールばかりを置いているようなバーに足を運ぼう。

スコティッシュエールは無個性だと思われがちだが、これを作っている日本のブルワリーを見つけたら是非とも飲んで欲しい。
このエールを出しているブルワリーは、オフフレーバーに対して繊細な感覚を持っていることがわかる。
本来、エールを作る際に大量に投入するホップやフルーツなどのフレーバーのおかげで、ある程度のオフフレーバーであれば誤魔化すことができるが、ホップが薄く個性の弱いこのスコティッシュエールでは少ないオフフレーバーでも目立ってしまう。
そのブルワリーが、オフフレーバーを出さない技術に自信がなくてはスコティッシュエールを出せないのだ。

スコッチエールのおすすめ

ベアードビア やばいやばい ストロングスコッチエール

アルコール度数は8%。330mlで550円。

ベアードビールの季節限定ビールとして今年も発売される。
バナナや干しぶどうのような果物の甘い香り、それからかすかに酸っぱさがある。
味わいはビターテイスト。モルトの甘味はあるのだが、強烈なフレーバーのインパクトと比べると穏やか。
酸味とともに柔らかな炭酸が感じられて心地いい。気づくとじんわり赤くなる、やばいビール。
今年の出来も楽しみだ。

ジョンマーティンス ゴードンスコッチエール

アルコール度数は8%。330mlで480円ほど。

ビターなスコッチエールを紹介したなら、しっかりと甘いスコッチエールも紹介しなくてはならない。
注いだ時点で甘いカラメルが豊かに香ってくる。口に含むとしっかりとした甘さが感じられ、香りの印象を裏切らない。スタウトにも見られるようなコーヒーのようなロースト感が楽しめる。

マイナーだけど、個人的には評価したいスタイル

今回紹介したスコティッシュエールは結構マイナーなビールだが、ウイスキーファンや、流行のホップマシマシビールたちに飽き飽きしたビールオタクたちにオススメしたい。
きっとまた少し、ビールの世界観が広がっていくことだろう。

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